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曇天に哭く修羅
第三部
Slump
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地面に落ちた相手の左手から【古神旧印/エルダーサイン】が光になって紫闇の左手へと吸い込まれていった。


「一体何なんだろうな」


相手の一部が光って見える。

この現象は何度も有った。

親善試合が終わった後からだ。


「勘になるけどもう一人の俺とか大きい門とかと関係無さそうだし、特に嫌な感じとかもしないし放っといて大丈夫だろ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「今夜で決着しそうだな」


紫闇の心が曇る。


(足りない。全然だ)


《レックス・ディヴァイザー》のように自分を高みに引き上げてくれる相手はそうそう居ないことくらい解っている。

もう普通の相手に満足することが出来ない。

そんな基準に達した相手との戦闘経験が無ければ成長できないと感じていた。


(人間じゃなくても良い。【魔獣】でも良いから相手になってくれ)


親善試合以降は強くなれていない。スランプに陥ったのだろう。これを脱するには好敵手。だが国内には居なさそうだ。

紫闇より強ければ良いのなら何人も居るが、差が開き過ぎて勝負以前の問題。


「対象外だな」


橘花翔もまともに戦えば圧倒される実力者だということは解っているが、彼は上手く紫闇に合わせてくれる器用さが有る。


「そんな橘花でも江神に負けたって言うんだから【魔神】までの道程は遠いぜほんと……。お、みんな来たみたいだな」


後ろから紫闇に遅れて龍帝のチームが他校のチームを撃破して駆け付けてきた。


「何で一人で行ったんだ?」


エンドは眉に皺を寄せながら怒気を洩らす。


「好敵手と窮地が無いなら強くなれないからな。良い相手が欲しいもんだ」


エンドが顔を険しくして睨む。


(エンドの気持ちが解らないわけじゃない。たぶん聖持もそうだろうし)


心配させているのは百も承知。

それでも紫闇は強くなりたかった。

《黒鋼焔》や《江神春斗》に追い付くくらい。

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