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不敗将軍
第六章

[8]前話
 ネイは自分の前に弁護人として現れたダヴーに対して言った。
「いいのだな」
「何がだ」
「私の弁護をして」
「裁判に弁護する者は必要だ」
 絶対にとだ、ダヴーはネイに答えた。
「そして私は君の友だ」
「それならか」
「弁護する義務がある」
「友情故にか」
「そう思ってくれて構わない」
「そうなのか、だが」
 それでもとだ、ネイはダヴーに語った。
「フーシェ殿は私にパスポートを差し出してくれた」
「亡命を勧めてくれたな」
「それは何故かだ」
「君がフランスに留まるとな」
「今の様に裁判を受けてだ」
 ネイは自分の運命がわかっていた、それで言うのだった。
「銃殺だ」
「そうだな」
「そうなることがわかっていたからだ」
 フーシェにとってもというのだ。
「まさにな、だからな」
「私を弁護してもだな」
「それでもだ」
 しっかりと、というのだ。
「私の銃殺は決まっている、それよりもだ」
「私にか」
「危害が及ぶが」
「そんなことはどうでもいいのだ」
 ダヴーはネイに毅然として答えた。
「私は来ないといけなかった」
「だから来てくれたのか」
「それだけだ、では全力でだ」
「私を弁護してくれるか」
「そうさせてもらう」
「有り難い、私は幸せ者だ」 
 ネイは微笑み言った、涙を流すところだったが勇者の中の勇者とまで言われた誇りでそれを何とか止めた。
 そのうえでだ、ダヴーに話した。
「君の様な友人を持てたのだからな」
「そう言ってくれるか」
「君の様な不敗の、不屈の者を友に持ててな」
 胸を張って言うのだった、そのうえで。
 ネイはダヴーの弁護を受けて裁判を受けた、結果は銃殺であったが彼は毅然として誇りある者として刑を受けた、その後でダヴーは逮捕されたが。
 その時彼は胸を張っていた、世の者達はその時の彼も見て言った。
「フランスは素晴らしい人物を持った」
「フランスにダヴーありだ」
「あれだけ立派な者を持てた国は幸せだ」
「不敗の、不屈の人物を持ててな」
 こう言うのだった、後にダヴーは名誉を回復され元帥にも戻り貴族院議員そして市長にも選出された。 
 ダヴーについてはナポレオン配下で最も優れた将軍であったと言う者が多い、一度も敗れたことがなかったからだ。だがその不敗の源は何処にあるか、それを見ると不敗以上に素晴らしいものがあることに気付くのではないだろうか。その心は決して折れなかったのだから。


不敗将軍   完


                2019・11・19
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