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提督はBarにいる。
暑気払いに夏を感じる1杯を・2
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しまった経緯を説明している。その間鈴谷は一言も発せず、ただ静かにモヒートのグラスの中に入れられたミントの葉を潰していた。

「ふ〜ん……長波ちゃん達には悪いけど、鈴谷は夕雲ちゃんの気持ちの方が共感できちゃうかなぁ」

「え、だって誰から見てもやり過ぎですって」

「でもさぁ長波ちゃん。それってどんな事をしてでもその人の事が欲しいって思えるから、そういう事をしてるんだと思わない?」

「夕雲姉さんのアレは、過剰な愛情表現だと?」

「ま、簡単に言うとそう言うことになるのかなぁ。ぶっちゃけ鈴谷もそういう事した覚えがあるから解るんだけどね」

「えぇ!?もしかして今の彼氏さんを……」

「あははは!違う違う、今のダーリンは向こうからナンパされて付き合い始めたのー。それより前……うん、鈴谷の初恋の相手にね」

 そう言って鈴谷は口を湿らせる様に、モヒートのグラスを傾けてその中身を半分ほど飲み込んだ。

「もうすぐ別の人と結婚するからぶっちゃけちゃうけどさ。実はね、鈴谷……ず〜っと提督の事が好き、だったんだよね」

 しん、と静まり返る店内。誰かが唾を飲み込むゴクリ、という音が嫌に響き渡る。

「最初はさ?提督の事をからかってるだけで楽しかったんだぁ。けどね、どんどん提督に接してる内に提督の事ばっかり考える様になっちゃって……『あ、提督の事が好きなんだ』って気付くまでそんなに時間はかかんなかったよ」

「告白してみようか迷ってる内に提督が金剛さんと結婚しちゃって、凄く嫉妬した。『鈴谷を1番に愛して欲しいのに』って。でもね、提督が金剛さんと触れ合ってる時って凄く優しそうな顔するの。他の娘達にも勿論優しいけど、金剛さんの時だけは特別な顔してた。だから、提督の1番は金剛さんだって嫌でも解らされた」

「多分、無理矢理金剛さんから提督を奪っても鈴谷にあんな顔はしてくれない……そう解ったら、提督の事を諦められた。やっぱり好きな人の1番でいたいって思っちゃうからさ。まぁ、加賀さんとかは未だに狙ってるみたいだけどね?」

 そう言ってモヒートのグラスを干した鈴谷は、少し寂しげに笑った。

「だからね、長波ちゃん。夕雲ちゃんが変な事してもとりあえず見守ってあげてよ。好きな人の為に必死になれるって、それだけで素敵な事だからさぁ……それに、鈴谷には最後まで貫き通せなかったから」



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