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魔女が使えないたった一つの魔法
6.魔法

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ふかふかのクッションに身を包まれ、数分の穏やかな時が流れた。

「すごくいい…けど、維持とか絶対大変だよね…。魔法とかで何とかならないのかな?」
紗夜は掃除や生活に関する魔法の本、つまり魔導書を水晶玉で検索した。
「これにしようかな…。記念すべき魔導書1冊目!!」
出てきた本を早速開くと、目次にズラっと日常魔法が並べられていた。

「えー、掃除…そうじ…。これかな?」
目次に書かれたページを開くと魔法陣と呪文が書いてあった。試しに【家を綺麗に保つ魔法】をかけてみることにした。

「えーと?発動対象に魔法陣を描きます…?てことは、床とか?
消えるもので描きたいけど……。」
悩んだ末、チョークに決めて水晶玉で白色チョークを出した。

「え?なんか…昔より描きやすくなってない?変な音ならないし、便利!!」
そんな些細なことに感動しながら、丁寧に魔法陣を書き写していった。
丸や三角など簡単な図形の集合体である魔法陣はすぐに描き終わった。
魔導書のページをみながら、呪文を唱えようとして、息を吸ったその瞬間、薄い青の光が紗夜の周りから家全体へと広がって消えた。
呪文を唱えようと空気を吸ったが、驚きすぎて吸い込みすぎてしまい、紗夜は酷く咳き込んだ。

「げほっ、げほっ…!!!……はぁ、何よ今の…咳き込んだせいで喉痛くなってきた…。」
1杯の水を出そうと水晶玉に手を伸ばした瞬間、目の前に大きな水滴、それもキンキンに冷えた物が現れた。
紗夜は慌てて水を掬おうとしたが、間に合わず床にこぼれてしまった。
すると、さっきかけた【家を綺麗に保つ魔法】が発動し、こぼれた水は瞬く間に乾き、こぼれて濡れたはずの床は水がこぼれた事実さえも否定したくなるほど綺麗に元通りになった。

「え、あ…魔法って凄い便利〜…………っじゃなくて!!何今の?!水出てきたんだけど?!」
紗夜は喉が痛くなったことも忘れて、水を出したと思われる自分の手のひらをまじまじと眺めていた。
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