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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第46話 隣地の草刈り
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 宇宙暦七八八年六月 マーロヴィア星域 メスラム星系惑星メスラム

 ワインを片手にシナリオを創り、翌日部下についた兵卒上がりの年配憲兵少尉にそれを説明して各種手配を済ませた六月一五日。俺は一個小隊と共に経済産業庁に、バグダッシュはやはり一個小隊を率いて星系首相府に向かった。俺は上位者告訴権の署名獲得、バグダッシュは国家警察より委託を受けた憲兵による民間人逮捕承諾署名の獲得だ。俺達がそれぞれの省庁に入ったと同時に、メスラム唯一の宇宙港はモンシャルマン大佐率いる軍憲兵の管轄下に入る。

「委託令状があるとはいえ任意の署名ですから、無理はなさらずともいいとは思いますが」
「小官は顔同様、スマートな交渉術を得意としておりましてね。星系首相も快くサインしていただけますよ」

 どこがスマートなのか問い質したいところではあったが時間もない。さほど広くもない中央官庁街で、普段より軽装備とはいえ憲兵を後ろに連ねながら歩けばかなり目立つ。好奇より不安の方が多い視線を四方から浴びながら、俺は経済産業庁へと足を踏み入れた。

 事前に署名を貰う相手にはアポを取ってはいたが、何も知らない受付嬢は憲兵の提示する令状を見て蒼白になり、警備員が駆け付けまた警備員に令状を提示して……三分経たずして、俺達は長官室に通される。

「ホント、軍は強引な手口を使うのね。貴方も半年以上姿を見せなかったけど、どうやらご活躍だったようでなによりだわ」

 直接の知己を得て作戦が開始され八ヶ月。パルッキ女史のブロンドには明らかにそれとわかる白いものが混ざり、分厚い化粧の下は荒れてそうで、目には疲労が浮かんでいる。軍とは違い、彼女にはハイネセンからの援護射撃も、頼れる上司も部下も存在しない。暴虐ともいえる軍の海賊狩りや護衛船団による統制、何故か小惑星帯のあちらこちらで発生する天体異常現象に、さして大きくもないとはいえマーロヴィアの政界財界から集中砲火を浴びたのだ。書は心を現すというが、俺が開いた上位者告訴権委任状にするサインも結構乱雑だ。

「これで軍主導の作戦はおしまいね?」
「ええ、後は『新労働力を活用した地域振興計画』の実行となります。今後も我々軍は長官閣下にご協力を惜しみません」
「今後『も』? 今まで軍が私に協力をしてくれたことがあって?」

 フンッと荒く鼻息をつくと、パルッキ女史は俺に向かって委任状を放り投げる。

「このド田舎星域から海賊が居なくなったのはいいわ。新しい産業の為の労働力を確保してくれたことは、道義や人道に目をつぶれば純経済的に悪くない話ね。問題はそれを指揮するのが私ということよ」
「流刑植民地の女王様というお仕事はお嫌いですか?」
「代わってほしけりゃ、代わってあげるわよ」
「……そうですね」

 量が多くて面倒ばかりな仕
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