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提督はBarにいる。
春を味わう筍料理・2
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がらの作り方を守り通している所だ。あんまり『日本的なビール』は無いが、どれも美味い。今回は5月だけ限定販売される『マイボック』という銘柄を運良く仕入れられたんで、出してみた。一般的なラガービールに比べてコクが深く、濃厚な味わいのビールだ。

「お二人には『デイジー』です」

「わぁ、綺麗!」

「ありがとう!」

 無論、グラスの中身はノンアルコールの『ダミー・デイジー』だ。

《ダミー・デイジーのレシピ》

・ラズベリーシロップ:60ml

・ライムジュース:30ml

・シュガーシロップ:1tsp
(作り方)
 全てをシェイカーに入れてシェイクし、氷の入ったグラスに注げば完成。



 ラズベリーシロップの鮮やかな赤と、ライムとベリーの爽やかな酸味が美味い。夏場なんかに飲むと最高だ。

「さて、ツマミは何にする?今日は筍がオススメなんだが」

「ふむ……タケノコ、というのはbambooの若芽だったか?」

「そうだが」

 それがどうかしたか?と尋ねると、訝しげに眉根を寄せたネルソンがポツリと溢した。

「それは……本当に食べられるのか?」

「はい?」

「だってそうだろう!?あんな堅くて中身が空の訳の解らない植物の芽だぞ!食べて身体に悪影響は無いのか!?」

 思わずシン……と静まり返る店内。そして誰かがプッと噴き出すのにつられる様に、店内は爆笑に包まれた。

「あははははははは!可愛い!ネルソンさん可愛い!」

「ひぃ〜っ!その発想は無かった!お腹痛い!」

「なっ、何故だ!何故に笑う!?」

隣で大爆笑するニ航戦の2人に、顔を赤くして憤慨するネルソン。国や地域で食文化に違いはあるが……そうか、筍食うのがそんなに変か。

「その辺にしとけ、2人共。食い物への認識の差ってのは、案外無視できないもんさ」

 実際、日本食ブームが世界的に起こるまでは生魚をそのまま食べるなんて有り得ないってのが世間的な物の見方だったんだからな。

「「は〜い」」

「だがまぁ、ネルソンもビビり過ぎだな。周りを見てみろよ、普通に食べてるだろ?」

「む……まぁ、確かにな」

「食ってもみないで食べないってのは『食わず嫌い』と言ってな。初対面の相手を一目見て面と向かって嫌いだと宣言するような物だ」

 相手との交渉術。客観的な情報を与えつつ、相手の気にする視点からのアプローチを試みる。

「む……」

「歴史と伝統を重んじる英国人としては、そういうのは失礼に当たるんじゃねぇのか?」

 その上で相手の重要にしている部分に軽く触れる程度、且つ誹謗にならない言葉遣いを意識して煽る。

「むぅ」

「別に食べてみて無理だったら残してもいいさ、隣
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