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SAO−銀ノ月−
第三十一話
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、言葉に甘えるといいつつ、それをチャクラムで支援しているのが、一番年長に見える女性だった。 

「オラオラどけよこの猪どもッ!」

 先程叫んできた真紅の少年が大剣を力任せに振り回し、俺がいる出口への退路を確保する。

「ナイスクラウド! リディアから脱出して、部屋の通路からチャクラムよろしく!」

 クラウドという名前らしい少年が切り裂いた穴を、指示通りにリディアと呼ばれた女性がまずは脱出し、出口付近で戦う俺の側面に付いた。

「ふふん……それ!」

 手の中で四つのチャクラムが煌めき、縦横無尽にダンジョン内を舞ってモスブリンを切り裂き続ける。
チャクラムというのは始めて見たが、かなり強力な武器なんだな……俺も、負けてはいられない。

「せやあッ!」

 出口付近のモスブリンの7匹目をポリゴン片とし、これで出口付近のモスブリンは新たに現れない限り全滅した。

「出口付近の奴は全員倒し……危ない!」

 未だに少し囲まれている方を見ると、声を張り上げて全員に指示を出しているリーダー格の少女の背後に、棍棒を振り上げようとしているモスブリンの姿。

 ……俺にだって、今からあの少女を助けることぐらい――!

「こっちは任せた……《縮地》ッ!」

 次に包囲網を離脱した真紅の少年、クラウドに出口付近を任せ、連続で使用出来る回数はたかが二回ぐらいだが、ほぼ瞬間移動を可能とする技で、リーダー格の少女の元へ駆けつける。

 当然、少女の代わりにモスブリンの棍棒に直撃することになるものの、力を込めてなんとか吹っ飛ばされないようにこらえた。

「キャッ!」

 いきなり現れた俺に庇われる、ということに驚いたものの、少女は驚くほど即座に状況を理解し、自分は足手まといだと思ったのだろう、走って包囲網を突破し、出口付近までたどり着いた。

 胸をなで下ろしたのもつかの間、背後のモスブリンが第二撃の為に棍棒を俺に向けて振り下ろさ……なかった。
攻撃するその前に、両手矛に貫かれてポリゴン片となってしまっていたから。

「……《アリシャ》を助けてくれて、感謝する」

 しんがりを務めていた眼帯の青年が、両手矛を他のモスブリンに向けて牽制しつつ、俺に対して礼を言ってくる。
アリシャというのは、恐らくあのリーダー格の少女のことだろう。

「こっちこそ助かった……俺たちが最後だな」

 もはやこの部屋にいるのは、未だ絶えないモスブリンと、それを邪魔するように駆けるチャクラム、そして俺と眼帯の青年だった。

「黒い和服の人! 《ヘルマン》! 早く!」

 アリシャという名前らしいリーダー格の少女の呼びかけに応え、俺たちは揃って部屋を飛び出した。

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