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勇者戸希乃を信じてほしい
第十話
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ん。

「なにか私にできることはある?」

 するとエルマちゃんはしばらく考えてから言いました。

「勇者さま、おねえちゃんを探してくれますか?」

 アルマさんはあのポータルで離れ離れになったまま、まだ戻って来ていません。
 エルマちゃんも当然心配でしょう、けど……。

「ごめんね、今すぐは無理なの」

「わかりました」

 やけに素直、どうしたんだろう?

「アルマさんのこと、心配だね」

 するとエルマちゃん、俯いて答えました。

「おねえ……ししょーが、あのとき、勇者様のいうことを、ちゃんとききなさいって、()ったから」

「……そっか」

 エルマちゃん、本当は探しに行きたいのに、我慢してたんだ。

 私はエルマちゃんを抱きしめて考えます。
 そして、決めました。



「アルマを探しにいくだって?」

 ゴルガスさんが驚いた声をあげます。

「はい、今は世界よりそっちが大事だと思います」

 私は決めました。世界も大事だけど、今すぐにするべきことは、やっぱりこっちです。

「ふーむ、なるほどな」

「それで、何かアドバイスはありますか?」

 ゴルガスさんは少し考えます。

「そうだな……捜索には本来ならある程度の人数を割くべきだが、今はそれはできない。だったらまずは、目標を明確に決めろ。なにを探すのか、よく考えるんだ」

「はい」

「時間はかけるな。当初の目標が見つからなかったとしても、別の目標を作ってはダメだ。見つからなければ切り上げろ。新しい目標は仕切り直してからだ」

「はい」

「もし敵がいても、絶対戦うな。見つからないように隠れて様子を見ろ。うまくすれば情報が得られるかもしれない。もし見つかった場合は即時撤退だ」

「はい」

「あとは……楽観的に考えろ。そこになにもなかったなら、それはどこかに逃げ延びて生きているということだと思え」

「はい」

「そんなところか……魔王軍にとってポータルはもう用済みだろうから、あれから1日たった今なら進軍して誰もいないかもしれない。だが油断はするなよ」

「はい」

「よし、じゃあ行ってこい」

「はい、行ってきます!」




 エルマちゃんのテレポートの魔法で、ポータルまでひとっ飛びです。

 取り残されたようなポータルは相変わらずそこにありました。
 少し揺らいでいるように見えるのは、気のせいでしょうか?

 辺りには誰もいないようで、人影もありません。

「勇者様、どうするの?」

 ポータル付近に着いて、エルマちゃんが不安そうにしています。

「まずはアルマさんに関係するものを探そう。アルマさんの物が落ちてないか、
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