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俺様勇者と武闘家日記
第1部
カザーブ〜ノアニール
エルフの里
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まさに私が憧れていた勇者の姿に見えてしまったからだ。
 普段の彼からは想像もつかないが、彼は人々を救う勇者なのだと言うことを、改めて認識させられた。



「あなた方人間にお話しすることは何もありません。どうかお引き取り下さい」
  にべもなくそう言い放たれ、私たちは目の前にいる人……ではなくエルフの女王様の言葉通り、その場から離れるしかなかった。
 そもそもなぜ私たちがエルフの女王様とこんなやり取りをしているのか、順を追って説明しなければならない。
 里の行き方を老人に教えてもらい、あっさりとたどり着いた私たちは、美しいエルフの女性に煙たがられても全く動じないユウリを先頭に、どんどん奥へと入っていった。里の奥にはエルフの女王様が一段高いところに座っており、左右には人間のお城で言う見張りの兵士のような立ち位置のエルフたちがこちらを見て睨んでいる。こちらが近づくにつれ、女王様の端麗かつ無機質な顔立ちが、次第に険しい表情に変わっていく。
「あなた方は人間ですね。勝手に我ら神聖なるエルフの地を踏み歩く粗野で乱暴な種族が、私に何の用ですか?」
  右側にいるエルフの一人がいきなり棘のある質問を突きつける。だがそんな質問にも臆することなく、我らがユウリはロマリア王に謁見したときの立ち居振舞いで優雅に返した。
「突然このような形で拝謁することをお許しください。私は勇者オルテガの息子のユウリと申します。私たちはノアニールからやって参りました」
「そのような名の村など知りません。どうかお帰り下さいませ」
  言葉を途中で遮られ、ユウリの眉根がぴくりと上がる。
「しかし、現にノアニールにいる老人から話を聞きました。あの村に呪いをかけたのはエルフの里の女王様であると」
「まあ!   その言い方では女王様が一方的に悪いように聞こえますわ」
 左側のエルフが嫌みったらしい様子で口を挟む。
「けして女王様のことを責めているわけではありません。ただ、なぜあの老人と話し合うこともせず村に呪いをかけてしまったのか、女王様のお心が知りたくてこうしてお目にかかったのです」
  なおもユウリは女王様との話し合いを求める。だが、当の女王様はこちらを見ようともしない。
「人間というものはなんと愚かで浅ましいのでしょう。そもそもアン王女様は人間の男などに恋をするような方ではありません。この里の宝である『夢見るルビー』を持ち出してしまったのも、人間の男に唆されたからに決まっておりますわ」
  右側のエルフが汚らわしいものでも見るかのようにこちらを睨む。
「そうよ! 実の娘にエルフの宝を持ち出された女王様の心労があなた方にわかって!?」
  左側のエルフは今にもこちらに掴みかかりそうな勢
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