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fate/vacant zero
日常の定義
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 さて。

 シルフィードから置き去りにされたあと必死こいて歩いた結果、何とか夜が明ける前には学院まで帰り着くことが出来た俺たち五人。


 皆して老オスマンに報告を終え、ぐったりと部屋に戻って、眠って起きたらさらに翌日の夜明けだったって怪奇現象を体験したわけだが。



 まあ、それは別にどうでもいい。

 いま問題なのは。


 なんか、ルイズの様子がおかしいってことだ。









Fate/vacant Zero

第二十一章 日常の定義







 異変は、起き抜けから始まった。と、思う。


 本当にイヤになるほど染み込んだ定時起床の習性は、きっちり俺の目を日の出前に覚まさせた。

 いや、丸一日眠ってたんだけどな。


 でだ。




 最初の数日はルイズを起こしてから洗顔用の水を汲みにいっていたんだが、そうするとどう頑張っても「遅い!」と怒鳴られることを学習した。
 よって、俺の朝起きて最初にすることは、一階まで駆け下りて水を洗面器に張り、部屋に戻ることである。

 手間と時間の節約のため、自分の顔は井戸から水を汲み上げた時に済ませるようにしていた。

 今日は一段と寝汗がじっとりヤバかったので、念入りに洗っておく。


 で、部屋に戻るとすぐにルイズを起こす。



 ふにゃっと歪んだ寝起きのルイズの表情は、いつ見ても和むなぁ。

 ここしばらく見れてなかったからより味がある。





 床に洗面器をおいて、両手で水を掬すくったまではいつも通りだった。

 つまり、ここらから先が何かおかしかった。




 手に水を溜めて、待つこと数秒。

 どうしたことか、ルイズが動かない。


 手がかじかんできたから早くしてほしいんだが。



 そのままぼーっとしたルイズを待つこと数秒、こしこしと眠そうに目を擦って曰く。


「そこに置いといて。自分で洗うから、いいわ」


 と。

 なんか漢文調になったがそれはどーでもいい。





 最初に思ったことが『ヤバい俺なんか粗相でもしたか』だった辺り、いい具合に俺もこの世界に馴染んできちまった気がするんだが。

 ともかく、驚いた。




 驚いてる間に手の間から洗面器に、水がどぱっと落下するぐらい驚いた。

 このワガママ女王ルイズさまの口から、『自分でやる』なんて言葉が出るなんて、この半月余りの間、想像したことすら一度たりともなかったんだから。


 故に。



「……ルイズ?」


 と、ひらひら顔の前で手を振ったのは無
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