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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第29話:三つ巴の争奪戦・その1
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 二課とジェネシスの戦闘は開始早々に激しいものとなった。

 まず真っ先に狙われたのは集団の後方を走っていた護衛車両だ。あっという間に追い付いたメイジ達は、哀れな羊を前に一切の容赦なく攻撃を仕掛けた。

〈〈〈アロー、ナーウ〉〉〉

 複数のメイジが放つ魔法の矢が、四方八方から護衛の車両に突き刺さる。

 コンクリートの路面を一撃で抉るほどの威力の魔法の矢だ。
 案の定車は木端微塵に吹き飛び、あっという間に後方に流され見えなくなった。乗っていた二課のスタッフもあれではミンチも同然だろう。

 それに構うことなく颯人は了子の車に近付こうとするメイジを迎え撃つ。
 先程2人程叩き落として後方に引き離したが、あの程度ではすぐに戦線に復帰してくるだろう。油断ならない。

 加えて、これだけの数のメイジが居ると言う事はこの場の何処かに指揮官が居る筈だ。それが幹部候補であればまだいいが、幹部クラスともなると苦戦は必須だろう。
 出来る事なら早々に数を減らすなどして、幹部や幹部候補との戦いに備えたい。

 しかし数の差だけは如何ともしがたかった。

「ちぃ、クソッ!?」
「させん!」
〈バリア―、ナーウ〉

 今、颯人の傍を1人のメイジが通り抜けていった。そいつが目指したのは、了子の車の前を走る車両。何をするつもりなのかを察した颯人がさせじと銃撃するが、間に割って入ったメイジが障壁を展開し邪魔をした。

 仲間のサポートを受けて先頭車両に辿り着いたメイジは、ライドスクレイパーから車の屋根に飛び降りた。同時に、箒の形をしたライドスクレイパーは魔法陣に包まれその形状を変化させ槍となる。

 メイジはその槍を着地と同時に運転席の真上から突き刺した。飛び散る血により赤く染まる窓。
 運転手を失った事により制御が利かなくなった車からメイジが飛び立つと、その車は後方で了子の車の右側に居た護衛の車に衝突した。

 残る護衛の車は了子の車の左側を走る一台のみ。

 その一台からは、護衛を務める黒服の男達が身を乗り出し手にした拳銃で必死に応戦していた。相手がノイズでなければ、確かに反撃の余地はある。

 だがしかし、それは所詮儚い抵抗だった。メイジにとって拳銃弾など豆鉄砲にも等しいものでしかないし、そもそもの話車に追い付く為にライドスクレイパーで飛んでいるメイジの機動力は非常に高い。
 撃ってもまず当たらないし、当たったとしても怯ませる事すらできない。

 結果、残った一台の車両も2人のメイジによって呆気なく撃破され残るは了子の車と颯人が乗るマシンウィンガーのみであった。

 その了子の車の上では、シンフォギアを纏った奏がアームドギアを片手に迫るメイジに必死に抵抗していた。

「クソッ、ちょこまかとッ!?」

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