暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第12話 背伸びの後に
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ろそろ教えてあげなよ」
「そうね、貴方と勇美の勝負も済んだ事だし、頃合いって所かしらね?」
 妹紅に話しかけられて、依姫もその場に現れて言った。
「依姫さん、ずっと私が眠っている間いてくれたんですね?」
 その事実に勇美は胸が熱くなるような心持ちとなるのであった。
「当然でしょ? 貴方にはちょっと意地悪する形になったんですもの。それに対するお詫びのようなものを含める意味でもね」
「??」
 依姫にも含みのある言われ方をして、勇美はますます頭がこんがらがった。
「いかにも訳が分からないって感じね。でも、それは食事をしながら話す事にしましょう。いつまでも湯気と香りの中に晒されるなんて、蛇の生殺しですしね」
「はい、お食事一緒にさせていただきます♪」
 勇美の素直な反応に、妹紅も依姫も微笑ましく感じるのだった。

◇ ◇ ◇

『妹紅宅』で頂く事になった昼食。
 そのレパートリーは白米や味噌汁や漬け物や焼き魚といった、いかにも和食というものであった。
 だが、その味付けは見事なものであった。白米は噛めば噛むほど甘みが唾液に絡め取られて濃厚な味わいになるし、味噌汁は味噌加減が丁度よく味がしつこくなく、それでいて食欲に華を咲かせるしっかりした味であったのだ。
 焼き魚も塩加減が絶妙で魚肉の歯応えを彩り、漬け物も優しく口の中に程よい刺激を与え、他の料理に水を指す事なく寧ろ箸を進ませる立役者となっていたのだ。
 それを勇美は心ゆくまで堪能していた。素朴ながら実に味わい深いものであった。
 そう、妹紅が作った食事自体は文句なしであったのだ。だが、問題は他にあった。
 それを言葉として紡ぐべく、勇美は口を開いた。
「要するに、妹紅さんと輝夜さんって不死身だったという事ですよね!」
 引きつる笑みを浮かべながら、勇美は強めの口調でいった。
「ああ、ついでに言うと輝夜の従者の薬師の永琳とかいう奴もだな」
 妹紅曰く、彼女らは輝夜の能力と永琳の頭脳で生み出された産物、『蓬莱の薬』を飲んで不老不死の肉体となったのである。
「つまり、私はお二人が死んでも生き返る事を知らされないでムキに止めようとしていた、そういう事ですね!」
「ああ」
「それって、私は俗に言う『騙された』って事じゃないんですか?」
 とうとう勇美は言い切った。自分はいいようにオモチャにされて遊ばれていたのだと。
「まあ、そう言いっこなしですよ」
 そこに依姫が笑いを堪えながら入り込んできた。
「そもそも依姫さんが事の始まりでしょ! 私に敢えて説明しないで妹紅さんとの勝負をけしかける形にして」
 勇美は言いたい事をどんどん言う。
「ごめんなさいね。でも、殺し合いなんて、例え生き返っても物騒でしょ? それを貴方は止める事に成功したのよ」
「はい、確かに……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ