第三章
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「一緒に来るか？」
「ニャア？」
「どっちにしても野良だと大変だしな」
こう言ってナイトを拾った、後ろで有里子がそんな可愛くない猫拾ってどうするのとか言っていたがもう聞かなかった。
登志夫はナイトを自分の家まで連れて行って母に話した。
「そういうことだから」
「そう、よかったわね」
母は息子にこう返した。
「いいことだと思うわ」
「それでこいつだけれど」
抱いているナイトを見つつ母にさらに話した。
「これからは」
「ええ、うちで飼うのね」
「虎之介もういるけれどな」
「ニャン」
見れば母の足元に毛の長いトラ猫がいる、小さいがよく虎に似ている。雄猫で去年里親として引き取った猫だ。
その虎之介も見てだ、登志夫は母に言った。
「こいつもな」
「ええ、二匹でもいいわよ」
「父さんもそう言ってくれるかな」
「当たり前でしょ、うち皆犬好きだから」
「じゃあな」
「すぐに病院に連れて行きなさい」
母は息子に微笑んで話した。
「いいわね」
「野良だった時期あるからな」
「病気になっていたら治さないといけないから」
「すぐにそうするよ」
こうしたやり取りの後でだった、登志夫はナイトも家で飼うことにした。ナイトは雄猫で去勢もされていなかったのでそちらも行なった。
ナイトは虎之介ともすぐに仲良くなり登志夫の家で幸せに暮らした、だが友人達はその話を聞いて登志夫に言った。
「猫を拾ったのはいいけれどな」
「有里子ちゃんとはそれっきりか」
「あれで終わりかよ」
「勿体なくないか？」
「読者モデルやってる美人だろ」
「そんな娘と付き合ってたのにな」
「お前等も言ったよな」
登志夫は彼等に平然として返した。
「人間性格が第一だって」
「だからか」
「それでか」
「そうだよ、猫がインスタ映えしないとか可愛くないとか言って捨てるんだぞ」
登志夫は自分が見たその場面から話した。
「そんな性格だぞ、だったらな」
「付き合わないか」
「どんな美人でも」
「顔だけの女なんか願い下げだ」
こちらからというのだ。
「俺だって褒められた性格じゃないけれどな」
「女好きで遊び人でか」
「だからだっていうんだな」
「ああ、けれどな」
それでもというのだ。
「そんなな」
「猫をあっさり捨ててか」
「それを平気だって言う娘はか」
「絶対に付き合うか、何度も言うがな」
登志夫は怒った顔でさらに言った。
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