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不条理探偵〜ピヨドンス公爵令嬢の嗜み殺人事件
ムムムントの野望

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「だーっ!本当だってばよ」
カルパッチョは泣きべそをかきながら支払い延期を嘆願した。
ベヨネッタにしてみれば毎回大赤字をこさえられた挙句、口八丁手八丁で逃げられてしまうのだから始末に負えない。
こんなゲス野郎はさっさと追い出してしまえばいいのだが、そう簡単な問題ではないのだ。
まず、賃借関係が複雑怪奇だ。この自称名探偵には親の代から借りがある。ベヨネッタ・スツールの家系は商人だ。
先々代がぱぴろす港の荷役から叩き上げ、たった一代でピヨドンスの経済の一角を担う豪商に成りあがった。
そこまではいい。ガウェイン・スツールは商才は逞しかったが少々、倫理観に欠けるところがあった。
平たく言えば敵が多いタイプだ。スツール家の経理を担う税理士が歳月を費やして中枢を握った。
そしてぱぴろす港の出入国管理を担うアジェロマン伯爵に坐骨神経痛の呪いを仕掛けた。金が動く所に陰謀がある。
税理士ムムムントにしてみればスツール家の富を右から左に動かせば小悪党の一派に経略の片棒を担がせるなど造作もない。
そこで、頃合いを見計らってスツール家の没落を企図した。アジェロマンの坐骨神経痛はムムムントが金で雇い入れた黒魔術師の仕業だ。
アジェロマンはものの見事に病に倒れた。伯爵には一粒種で幼い令嬢がいたが、もちろん後継など勤まろうはずがない。
ムムムントはスツール家との信頼関係を悪用してぱぴろす港の実権を掌握しようとした。

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