暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第二十一話 EFSF〜エル・ファシル警備艦隊〜
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てるし、うまくやれるかどうか分からんよ。将官推薦は確かに重い、でもな、誰だって新米の時はある。それは新米兵曹だろうが、新米少尉だろうが変わらないと思うんだ。新米大尉だって同じだよ。大事なのは失敗しないとか旨くやることじゃない、確実にこなすことなんだ。お前は副官だ、ビュコック提督とマンツーマンの任務だ。スケジュールがどうこうじゃなくて、ビュコック提督の人為を理解する事が必要でもあり任務でもあるんだ。そこに徹すれば、階級は気にする事はないよ」
「…ヤマト、お前、達観してるなあ。本当に同い年って思えなくなってきたよ。ありがとう、気が楽になった。そうだよな、状況に入りきる事が大事だよな、よし」
オットーが自信を無くしていたのは前から気づいていたんだ。俺はある意味この世界の住人じゃないから、未だに登場人物を見てウキウキしたり、死亡フラグがぁー!とか言いながら、それを楽しみながら過ごしている。でも俺以外にとってはそうじゃないんだよなあ、当たり前だけど…。




790年10月15日 アルレスハイム星系外縁部(イゼルローン前哨宙域方向)、エル・ファシル警備艦隊(F.P.F.E F S F)、旗艦リオ・グランデ、艦隊司令部 ヤマト・ウィンチェスター

 「どうかね、ウィンチェスター大尉、この艦隊は」
「どういう意味でしょうか、司令官閣下」
「どういう意味も何も、そのままの意味じゃよ」
着任して半年経った、思うところを述べてみよ、ってところかな? …そんな緊張した顔するなよオットー。変な事は言わないぞ?
「いい艦隊だと思います」
「…それだけかね?」
「率直に申し上げて宜しいのであれば…」
「ほう、何だね」
「ウチの艦隊の再編成が完了したのは一年前でした。エル・ファシル失陥後の急拵えの艦隊にしては悪くない、練度も高く、兵力も以前の倍です。星系警備の艦隊指揮に旗艦級戦艦を配備しているという事を見ても、国防委員会はいい仕事をしたと思います。自分達の事で恐縮ですが、我々将官推薦者を送り込んだという事をみても国防委員会の期待は大きいのかもしれません。いい艦隊だと思いますが…」
「ハハ…まだ何か含むところがあるようじゃな。儂から訊いたのじゃ、全部言ってしまいたまえ。シェルビー大佐もイエイツ少佐も居らん、気にせんでいい。儂にも遠慮は要らんぞ」
「は…御配慮有り難うございます。ウチの艦隊は兵力規模や人事面から見れば期待されているようにも見えます。ですが…恐れながら閣下はこれまでご自身の御意向に沿う待遇を受けて来られたでしょうか?」
「ふむ…不満に思う訳ではないが、そういう事は無かったの」

 そうなのだ。ビュコック提督は名将と言っていい存在だ。優秀ではない人物が二等兵から少将まで来れる筈がないのだ。だから下士官兵達からの信望、評価は高い。しか
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