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おっちょこちょいのかよちゃん
46 ピアノへの情熱
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 杉山は今日会った東京の少女の事を考えていた。
(何だよ、あの気の強え女・・・)
 あの気の強さ、腰を抜かした事で臆病者と馬鹿にされた事・・・。
(山田かよ子とはえらい違いだ・・・。女じゃないと言っていいな)
 しかし、杉山にはあの安藤りえという女子に何かがあると感じていた。

 かよ子はりえと話をしていた。
「それで私ね、将来ピアニストになりたいの。それでピアノを練習してるんだ。来月コンクールもあるし」
「ピアノのコンクールか・・・。頑張ってね!」
(そういえばたまちゃんもピアノやってたよね・・・。たまちゃんには失礼かもしれないけどたまちゃんよりもピアノ上手そう・・・)
「そうだ、かよちゃんにピアノを聞かせてあげるわ。今練習してるのは『亜麻色の髪の乙女』って言って今度のコンクールで弾く予定なのっ!」
「いいの?ありがとう!」
 りえはピアノの方へ向かう。そして「亜麻色の髪の乙女」を弾き始めた。曲調も、りえの指使いも、素晴らしかった。だが、途中で音をミスしてしまった。
「あ、ごめんね、ミスしちゃって」
「大丈夫だよ、凄い上手だったよ!」
「ありがとう」
「そうだ、りえちゃんはどうして清水に来たの?」
「ああ、それはね、私、実は東京って空気が汚れてるから、喘息気味になっちゃって・・・。それで私のおばあちゃんがこの清水に住んでるから、ここに来たの。清水(ここ)は空気綺麗だからね。おばあちゃんの家にはピアノがないから、お父さんがここの教会のシスターと知り合いで教会からピアノを借りる許可も貰ったの」
「そっか、大変だよね、練習しないと」
「ええ、でも、午前にもここに来た子達と早速『友達』になれたから明日はその『友達』と遊ぶつもりでいるの」
「えっ、もう友達できたの!?凄いね!」
「ええ・・・。そうだ、かよちゃんも一緒に遊ぶ?」
「私もいいの?」
「勿論よっ」
「うん!」
 かよ子とりえは約束した。

 かよ子は帰宅した。
「只今」
「あ、お帰り、かよ子。その『杯』を持ってる子と会えたの?」
「うん、会えたよ。すっごく可愛い子だったよ!」
「よかったわね」
「明日も会いに行っていいかな?」
「構わないけど、その子はピアノの練習をしているんでしょ?あまり練習の邪魔しないようにね」
「大丈夫だよ。遊ぶ約束もしてるんだ」
 かよ子は明日を楽しみにしていた。
「あ、そうだ・・・」
 かよ子はある事を思い出し、電話を掛けた。掛けた相手は長山だった。
『もしもし・・・、あれ、山田?』
「な、長山君。じ、実は・・・、この前、長山君が言っていた事、間違ってなかったんだ」
『え、本当かい?』
「私の杖はトランプの『クラブ』、さりお姉さんが持ってる護符は『ダイヤ』を表したものだけど、今、その『ハート』を表す
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