第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第6話 毒VS鋼:後編
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はそれだけではない事を頭を痛めながら噛み締めるしかなかった。
「安心しなさい、今回はあんたを蝕むように毒は使わないって何度も言ってるでしょ」
「それなら安心だね」
メディスンに諭されて、勇美はペロっと舌を出して茶目っ気を出して言った。
「本当に安心していいのかな?」
不敵な笑みをたたえながらメディスンは言う。
「それってどういう……」
「周りを良く見てみなさいよ」
言い終える前にメディスンに指摘されて漸く勇美は気付き、はっと息を飲んだ。
周囲は不気味な霧で覆われて、ほとんど視界が通らなくなっていたのだ。
「周りが見えない……」
「どう、気付いた? これであんたは動き回るのは困難になったって事よ」
憮然とした態度でメディスンは言う。だが勇美はここである事に気付いた。
「でも、これじゃあメディスンちゃんも辺りを見回せないんじゃないの?」
これは好機かと思って勇美は言った。だが現実はそこまで甘くはなかったようだ。
「残念ね。この霧は私の力で作っているのよ。問題なく私はこの中で動けるわ」
「ですよね〜」
抜け道を見つけたと思ったら、あっさりそれを潰されて勇美はうなだれた。
「じゃあ、行かせてもらおうかしら?」
そう言ってメディスンが臨戦態勢に入ったのが、姿が見えなくなっていても分かった。
(どうすれば……?)
視界を塞がれ標的にされた勇美は焦り始めた。
「勇美、落ち着きなさい」
そこに目の前の敵であるメディスンとは違う声が掛かる。
「依姫さん……?」
勇美は呟く。そう、彼女の言葉が示す通り、声の主は依姫からのものだった。
「あなたには八百万の神の力がついているのよ。だから落ち着いて対処すれば解決出来るわ」
「……」
依姫の言葉に勇美は聞きいった。その最中、依姫は今の自分の行為は神聖な勝負において些か邪道であるなと思っていた。
だが、勇美にとって初の弾幕ごっこなのだ。これ位の支えを与えても罰は当たらないだろう。それに最後に解決するのは神の力を借りた勇美自身なのだから。
「ありがとうございます、依姫さん。お陰で落ち着けました」
そして当人の勇美も調子を取り戻していったようだ。
「この霧を吹き飛ばせでもしたら……そうだ!」
勇美は妙案を思い付いたようだ。後はそれを実行に移すだけである。
「風神様、私に力を!」
そう勇美が呼び掛けると、大袋を持った青い肌を持つ鬼の神が現出し、そしてかき消えた。
そして勇美の側の中空に湧き出る機械の塊。それがメキメキと音を立てながら次々に体のパーツを増やしていき、徐々にその姿を明らかにしていったのだ。
それが終わり完成したのは……。
「扇風機……?」
思わずメディスンが呟いた。その言葉通りその機械は扇風機のようであった。
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