第二章
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すぐに村人達のうちで若い者達の案内を受けて化けものがいる山に入った、すると村人達はすぐに小次郎に話した。
「くれぐれもお気をつけを」
「熊は只でさえ強いですが」
「化けものになっているなら」
「もうその強さは相当です」
「ですからどうか」
「お気をつけを」
「わかっておる、拙者もこれまで武芸者として生きてな」
そしてとだ、小次郎は案内役の村人達に答えた、山は深く鬱蒼としていて今にも何かが出てきそうである。
「多くの剣豪を倒し化けものもな」
「倒してきましたか」
「そうされてきましたか」
「これまで」
「うむ、ただ鬼熊はな」
この化けものはというと。
「はじめて相手にする」
「そうなのですか」
「わし等の村を荒らすあの化けものは」
「うむ、しかしそなた達の苦しみは終わる」
化けものがもたらすそれはというのだ。
「これよりな」
「化けものを退治してくれるので」
「それで、ですか」
「左様、お主達が案ずることはない」
小次郎は笑って言い切る、だがここで。
村人達は彼が背負う刀を見てそのうえで言った。
「しかし長い刀ですな」
「随分と」
「まるで竿です」
「とにかく長いですな」
「左様、拙者の剣術はこの刀を使うものでな」
小次郎は自分が背負う刀について言う村人達に答えた。
「これまでどの剣豪も化けものも。山賊や追剥共もな」
「倒されてきた」
「そうなのですか」
「左様、だから鬼熊もだ」
この化けものもというのだ。
「この刀で倒す」
「そうですか、しかしです」
ここで村人の一人が言ってきた。
「熊の毛皮はかなり厚く骨も丈夫で」
「刀もだな」
「そうおいそれとはです」
「貫けぬな」
「左様ですが」
「それはわかっておる、それでもな」
「お武家様の剣術は、ですか」
村人は小次郎に問うた。
「熊の毛皮も骨も」
「断ち切れる」
「そうなのですか」
「そしてな」
「そして?」
「熊は前足で襲ってくる」
小次郎はこのことを話した。
「それと牙でな」
「はい、そうです」
「熊は後ろ足で襲ってきませぬ」
「前足と牙で襲ってきて」
「後ろ足は支えですな」
「支えを狙えば」
それでというのだ。
「案外脆いものであるな」
「ならですか」
「それで、ですか」
「化けものも倒す」
「そうされますか」
「化けものが出てくればな」
その時はというのだ。
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