暁 〜小説投稿サイト〜
『組長と零』
『焼ソバ』

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あれから時は経ち、常に生きてる感覚が無かった。
生かされてるのが辛かった。

最後に食べた組長自信作のホットプレート焼ソバ。それが、それ迄に食べたことのある焼ソバと比べ物にならないくらい美味しかった。

だからなのか、施設で出てくる焼ソバが妙に味気なかった。

もう、何があったとしても組長には甘えないし頼らない。会わない方が良い。

組長の為に何か出来るとするなら、組長の前に二度と姿を見せない事。

其れが私に出来る唯一の恩返しだと思った。

恩を返せる何かが無いうちは逢えない。逢わない。
どんなに逢いたくなっても、恋しい、甘えたいって苦しくなっても耐えよう。

一般的な幸せな家庭で育った子が、自立する時が来て親元から離れなければならない。その時の感覚に近いのかもしれない。なんて思ったりした。

もう今の自分は二度と組長に逢う資格は無い。

いろんなことがある、いろんなことを考える。


そのうち強制退学で施設を退所することに。
児相に戻り、次の留置施設が決まる迄また児相での生活がはじまった。

次の留置先は教護院だと知ってる。外部とは一切遮断された、刑務所より厳しい施設。組長とは逢いたくても無理だ。

そして、行き先は伝えない。伝えなくても調べることは簡単だろうけど。
仮に組長から連絡が来たとしても、取り次いで貰えないどころか、組長が酷い対応をされるかもしれない。

そんなイメージの悪い施設に留置される。国立なんかは自殺者が出たとかの噂がある。
県立でも厳しい所は血を吐くほどの拷問があるとか...。

色んな不安は在ったけど、とりあえず組長に迷惑をかけることは無いだろう。それは安心だった。

またいつか組長の焼ソバを食べれる日は来るのかな?なんてのんきに今は思っていよう。



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