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勇者戸希乃を信じてほしい
第五話
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「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 上から落下してくる黒い煙の塊は何やらものすごい雄叫びを上げています。

「ねえ、あれは何!?何なの!?」

 するとニヤニヤしながら魔法使いのおばあさんが言います。

「あんたの腕試しの相手さ。あいつを倒すなり何なり、どうにかしてあんたは自分が勇者であることを証明しなければならない」

 いや、なんかめっちゃ怖くて強いやつですよね、あれ。

「そんなこと言ったって!?」

「おい、勇者様!戸希乃《ときの》!こっちへ来い!俺の後ろにいるんだ!」

 剣を構えたゴルガスさんが私を手招きします。

「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 雄叫びはどんどん近づいてきます。
 私は身をかがめながらゴルガスさんの背後に隠れました。

「魔王!あれは何なの!?」

 私の背中におんぶひもでくくりつけられた魔王が言います。

「あー、あれはまずいな……」

 え?それって?
 魔王が恐れるほどの厄介なやつってこと!?

「戸希乃《ときの》!剣を構えろ!迎え撃つぞ!」

 うう……怖いけど、やるしかないみたい……。
 おんぶひもを解くと魔王をマリアさんに渡して剣を構えます。

「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

 黒い煙の塊は広場の中央に地響きとともに着地します!
 その衝撃で塊を構成していた煙が広場を埋め尽くし、視界塞ぎました。

「さまあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ……へ?なんて?

 もうもうと巻き上がる煙が晴れると、そこにいたのは、正装をして魔王に向かって片膝を付き胸の前にうやうやしく手をあてて頭《こうべ》を垂れお辞儀をする、長身の……紳士さん?
 見ようによってはこれ、マリアさんに向かって跪《ひざまず》いてるようにも見えますね。

「探しましたぞ、魔王様」

 しばしの沈黙。

「突然いなくなられて驚きましたぞ。魔王軍の皆も心配しております。どうか早急にお戻りいただけませんか」

 またしばしの沈黙。

「な、何をおっしゃいますか!」

 何しているんだろう紳士さん?
 ああ、魔王が紳士さんと話してるんだ。
 もしもーし、こっちにも聞こえるように話してくださいー。

「は……そういえば随分縮まられたと言うか……これは……」

 また沈黙。

「ゆ・う・しゃ!?」

 そして突然、紳士さんの周りに見えないはずのオーラのようなものが見えたような気がしたかと思うと、胃がずんと重くなったと言うか、心臓を氷のように冷たい手で鷲掴みにされたと言うか、そういう明らかにやばい雰囲気に包まれました。
 これ、もしかして殺気というやつですか!?

 紳
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