暁 〜小説投稿サイト〜
ペルソナ3[百合] 求めあう魂
後編
[1/10]

[8]前話 前書き [1] 最後
「ゆかり! ゆかり!」
呼ぶ声に気がつくと美鶴に身体をゆすられていた。目に飛び込んできたのは、冷静な美鶴が普段は見せない必死の形相だった。振り乱した髪、血走った目からは涙があふれている。
「しっかりしろ、ゆかり!」
「せ・ん・ぱい・・・?」
そこで状況を思い出し、「あっ・・死神は?」と慌てて体を起こそうとする。
その瞬間、全身に痛みが走って、思わず呻いて身をよじった。
「まだ、無理しちゃダメ。じっとしてて。」
汗まみれで息を荒くしたまま『彼女』が ゆかり 制した。
「安心して。死神は倒したよ。」
続けて『彼女』がそう教えてくれる。ゆかり はその言葉に安堵して、体の力を抜いた。
まわりには全員が心配そうに集まっている。みんなぼろぼろだった。
『彼女』が最高レベルの回復スキルをかけてくれる。あれだけひどかった痛みがみるみる引いていき、傷も消えていく。
「ありがとう、ずいぶん楽になった。」
ゆかり は『彼女』に礼を言った。
「まだ、スキルを使う余力があって良かったよ。・・・でもこれでもう打ち止め。」
さすがの『彼女』も疲れきった顔で力なく笑う。
「本当に大丈夫か?」
美鶴が涙を浮かべながら心配そうに問いかけてくる。
「まあ、なんとか。・・・先輩は?」
心配させまいと無理に笑って見せた。
「君がかばってくれたからな。・・・すまなかった。私の為に・・・。」
「何言ってんですか。こんなのお互い様でしょ。それより、私達、勝ったんですよね。そんな顔してないで喜びましょうよ。」
ゆかり は元気づけるように美鶴に言った。
「はい。私たちは勝ちました。全員で一丸となってつかんだ勝利です。大変素晴らしかったです。」とアイギスが力強く言う。
「本当にすごいや、死神シャドウに勝っちゃうなんて。」と天田君が笑う。
「おーよ。確かに俺ら強くなったんだよな。これでニュクスも恐れるに足らずだ。順平はレベルアップ〜。」
順平が天を指さして声を張り上げる。
「おいおい、順平だけじゃなくて『俺たちレベルアップ』だろう。」
真田も上機嫌で笑いながらつっこむ。
みんなの雰囲気が盛り上がっていた。
「でも本当に良かった。先輩が無事で・・・。」
そんな中、ゆかり がほっと息を吐く。
「ゆかり・・・。」
気づいた美鶴は、唇をふるわせて彼女を見つめた。
「大変、意義のある勝利です。しかし、ニュクスは死神以上の存在と推定されます。後ほど本日の戦闘を分析しますので、少しでも課題を克服しておきましょう。」
一同勝利に舞い上がっている中、アイギスはこの後に待つ過酷な戦いを意識してか、冷静にそう告げた。
「もう、アイちゃんったら、せっかく盛り上がってるのに〜・・・。」と順平がぼやく。
「いや、アイギスの言うとおりだ。確かに命がけの厳しい戦いだった。
[8]前話 前書き [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ