暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
仮初めから契りへ(IF純クリホワイトデー)
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その日、クリスが自宅に帰るとポストに一通の手紙が入っていた。
宛先も差出人も一切ない。あるのはただ一文、『Dear my princess』のみ。内容もシンプルで、『思い出の場所で待つ』とだけ記されている。

傍から見れば気障ったらしいだけの怪しい手紙だが、クリスにとってはそれだけで十分だった。

思い出の場所……それはクリスと、そして純にとっての始まりとも言える場所。
純が王子を、クリスがお姫様を目指すようになった、その切掛けとなった場所だ。

そこへ向かう道すがら、クリスは密かに胸の高鳴りを感じていた。
何か確信がある訳ではない。だが何か、予感がするのだ。

純が何かとても大事な話をしようといていると言う、そんな予感が。

そうこうしていると、目的の場所に辿り着いた。

それはとある公園の端っこにある、クローバーの密集地帯だ。あれから何年も経っているのに、ここは未だに残り続けている。

春先の青々とした木々とクローバー……シロツメクサが太陽の光に照らされたその場所の中心に、彼は居た。

ショートカットの金髪碧眼、正に王子と言う言葉を表したかのような容姿をした少年、爽々波 純……クリスだけの王子様だ。

彼の姿を目にした瞬間、心は自然と高鳴り頬は紅潮し、表情は柔らかな笑みを浮かべる。対する彼は、座り込んで何かをしているようだが、その立ち振る舞いにもどこか品があった

と、向こうもこちらの存在に気付いたのか手元の作業を中断し、立ち上がりながら笑みを浮かべて手を振ってきた。

「やぁ、クリス!」
「お待たせ、純! 待たせちゃった?」
「いいや。待ってる間にこれが作れたから、寧ろ丁度良かったよ」

そう言って純が掲げたのは、もう完成間近と言った感じの花冠だった。まだ小さかった頃、ここで同じ物を作った時の記憶が蘇りクリスの表情が花が咲いたような笑みに変わる。

「あ! これ!」
「懐かしいだろ? もうちょっと待ってな」

純は未完成の花冠を完成させるべくそちらに意識を集中させる。それを見て、クリスも何かを思いついたのかしゃがんでシロツメクサを手に取った。

「…………よし! クリ、と……」

物の数秒で完成した花冠をクリスに見せようとした純だったが、彼女がしゃがんで同じく花冠を作っているのに気付くと何も言わずにその隣にしゃがみこんだ。
顔には笑みを浮かべ、しかし真剣そのものと言った様子で花冠を作り上げていくクリスの様子を純は愛しそうに眺める。

思えば、互いに随分と成長したものだ。クリスなど、街中を歩けば男なら誰もが振り向くだろう美少女に育った。
その彼女にとっての王子様として相応しい男になれたと、彼自身は自負している。

対する純も、同じくすれ違う女性の多くを振り向かせる程の
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