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俺様勇者と武闘家日記
第1部
カザーブ〜ノアニール
ミオの過去
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うとしたんだ。ちょっとでも魔物と戦える強さを身に付けられるように」
「そんなにうまくは行かないだろ」
ユウリの言うとおり、この村には当時、武闘家に憧れる若者も、魔物を退治しようという気概のある大人もいなかった。
それに、この村の昔からの因習で、『魔物に襲われることは災害と同じである。下手に人間が手を出したらさらに災いは起こるだろう』という考えが村人の頭の中に根付いていたので、それを覆すことは容易ではなかったのだという。
さらに最初はよそ者ということもあり、師匠の話に耳を傾ける人すらいなかったそうだ。
「うん。でも、師匠はね、再び悲劇を繰り返さないためにも、あの事件と向き合う事が大切だって村人たちに必死に訴えたんだ。そしたら、ちょっとずつだけど、武術を習いたいって人が増えていったの」
そんな師匠の姿を隣でこっそり見ていた私は、いつしか武術に興味を持つようになり、道場の門を叩いた。
私が入って二、三年後には、門下生は十人を越え、自警団も創設されるようになった。そのころの師匠はまさに、村にとっての救世主そのものであった。
「それで私も師匠のもとで武術をやり始めて、何年か教えてもらってたんだけど、私が旅立つ前に亡くなってしまって……」
丁度あれは、一年くらい前だっただろうか。
死の間際、私を呼び出した師匠は悔しそうに言った。
ーおれの心残りは、お前を一人前の武闘家にできなかったことだ。
そう言い残すと、師匠は息を引き取り、故郷に帰ることもなくこのコスモスの花が咲く場所へ、子供たちと一緒に眠りについた。
師匠がいなくなり、道場も閉鎖となった。けれど師匠の教えは今でも私たちの中で引き継がれている。それでもやっぱり師匠がいなくなるのは寂しかった。
「そのあとは自己流で鍛えてたんだけど、やっぱり限界を感じちゃって。もうやめようかなってときに、勇者……ユウリが魔王を倒すって噂が耳に入ってきたんだ」
武術を始めて最初は、単なる自己満足でしかなかった。けど、師匠と一緒に修行をしていくうちに、師匠に教わった武術を自分だけじゃなく、誰かのために使いたいと思うようになった。
そして勇者の噂を聞いて気づいた。誰か、というのは魔物に脅かされる人々や、勇者であるユウリのことでもあるのだと。
その人たちの力になれば、自分は生き甲斐を感じることが出来るんじゃないか。
これも自己満足かもしれない。でも、なにもしないでいるよりは、誰かのために行動したい。その思いの方が強かった。
「ユウリと一緒なら、きっと魔王を倒せると思って、すぐに旅立とうと思い立ったんだ。でも、アリアハンに向かう途中もいろいろあったし、これで仲間になれなかったらどうしようかってず
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