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ペルソナ3 アイギス・だいありー
後編
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「我々が引き上げてしばらくしてから、スピカがアイギスをすぐに呼んで欲しいと言い出したらしい。あり得ないことだと山村さんも困惑していて・・・」
(スピカさんが私を呼んでいる? )
美鶴さんの話を聞いて、私は何か落ち着かないものを感じたであります。
スピカさんとの会話は、いわゆる「社交辞令的」の域を出ないものでした。現状のスペックでは、それ以上の内容を求めることは厳しいことだと推定されるであります。データ交換ではなく、「言葉」のみで意思を伝え合うということは、なんと困難なことなのでしょうか。
しかし、それでも私はスピカさんの言葉の背後に、同族である私と会話することに対する『特別なもの』を感じた気がするのであります。それは、ただの私の願望なのかもしれません。それでも何かが通じ合ったような気がしてならないのであります。
今 こうしてスピカさんが名指しで私を呼んでいることにも、何か特別な意味があるのではないでしょうか。私はどうしてもそれが知りたいという衝動にかられました。
「私がスピカさんとお話ししてみても良いでしょうか?」
「電話でか?」
美鶴さんは少し驚いたようにそう訊き返すと、山村さんに確認した上で「可能だそうだ」と携帯電話を貸してくれたであります。
「アイギスであります。スピカさん、どうかしたでありますか?」
私は電話に向かって問いかけました。
『アイギスさん・・・ですか? 私、アイギスさんにお話ししたいことがあります。』
スピカさんの声がします。先ほどと同じ、落ち着いた口調でしたが、私はそこに何か切羽詰まったものを感じたであります。
『アイギスさ・・・ん・・・ここが危ない・・・と・・・』
その後、急に声が途切れ途切れになってきて
『お・・・かしなこと・・・が・・・アイギス・・さん・・・私のお友達・・・ここにきて・・・たすけて・・・』
そこまで言って突然にプツンと声が途切れてしまいました。
「スピカさん? どうしたでありますか?」
私は重ねて訊きましたが、既に通信は遮断されていたであります。
「切れたであります。」
携帯電話を返しながら、私は何か抑えきれないものがこみ上げるのを感じていました。
スピカさんは、私に何かを伝えようとしているのです。そして助けを求めているのです。それがいったい何なのか。その確認が何よりも急務と思えるのであります。
「美鶴さん。私はこれからスピカさんのところに戻るであります。」
「ちょっとまてアイギス。どうしたというんだ。」
美鶴さんが驚いたように声を上げました。
「スピカさんからの救援要請であります。」
みんなが顔を見合わせました。
「山村さんもそう言っていたが、そんなことが有り得るのか?」
「そうですね。会話ができるって言っても、自我を持っているわけじゃないんですよね。」

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