MR編
百五十九話 苦闘
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でつかってくるとなると本格的に余裕がなくなってくる。ボスとユウキ、双方への対応を強いられる状況に歯噛みしつつも、しかし普通ならばパニックを起こしてもおかしくはないこの状況にいてもまだ彼は冷静であり、そしてその視野の広さは健在だった。
「全員!聞いてくれ!!ボスの石化を解除する方法を探るんだ!!」
「えっ!!?」
「ユウキの身体を操ってるのは多分アイツなんだ!!けど石化したままじゃ……ッ!殆どダメージが通らない!!」
尚も切りかかってくるユウキの攻撃を酒ながら叫んだキリトの言葉に、シリカが真っ先に反応した。
「わ、分かりました!皆さん!聞いてくださ──」
偶然か、あるいは何らかの仕掛けによるものなのか、その瞬間ユウキの身体が突如挙動を変えたのを見てキリトは自らの失敗を悟った。ユウキ自身を攻撃せずに彼女の剣戟を捌こうとするのに集中するあまり、いつの間にか後方に下がりすぎていたのだ。
「シリカ!!気を付けろ!!」
「へっ?」
恐らくはユウキが攻撃の対象として判定する範囲内に入ってしまったのだろう。彼女の身体が体制を立て直すのに時間がかかっているキリトの事無視して猛然とシリカに向けて突撃する。しかし指示を出すこととそれを考える事に集中していたシリカはキリトの言葉に咄嗟に反応できず、接近してくるユウキに対処するタイミングを完全に逃した。
「ぁ……」
彼女の視界がユウキを捉えた時にはもうユウキは攻撃の初動に入っていた。
「よけて!!」
悲鳴じみたユウキの声と共に、薄緑色のエフェクトを纏った黒曜石の剣がシリカの無防備な喉元を捉える寸前まで迫る。しかし直撃の寸前に、もう一つのエフェクトがその間に割り込んだ。
「あ、アイリさ……」
「ぼうっとしないで下がって!!」
半ばシリカを押しのけるようにして足場を確保しつつ、アイリの身体が回転するユウキとは別の方向へ急旋回する。高速で反転と交錯を繰り返す事四度、互いの垂直と並行の剣戟が立て続けにぶつかり合い、色とりどりの光と火花を散らした。
片手剣 垂直四連撃 《バーチカル・スクエア》
片手剣 水平四連撃 《ホリゾンタル・スクエア》
「(早い……!)」
悲しげな、同時に安堵したようなユウキの顔を見ながらアイリは内心一人ごちる。通常、垂直四連であるバーチカル・スクエアは水平四連であるホリゾンタル・スクエアと比較して動作の繋ぎが早く、動き自体もコンパクトなため同時に出せば十中八九三撃目か四撃目の剣戟が先手を取って相手に入る。そして先ほどの技の選択は、半ば反射的とはいえシリカとの間に割り込みながらユウキの初動を観察して次に出てくる技を予想した者で、出だしで後れを取っていることはまずなかった。にも関わらずこちらの技が殆ど完全相殺されたのは、純粋にユウ
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