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オゴメ
第一章

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               オゴメ
 伊豆諸島の一つ三宅島に伝わる話である。
 ここにオゴメという妖怪がいる、木の上で赤子の様な声で泣く。この妖怪の話を聞いて若い民俗学者遠山青空は言った。
「赤子の声というと」
「というと?」
「あれですよね」
 大学教授の真崎良子に言った。
「中国の」
「ああ、山の妖怪ね」
「中国の妖怪は山にいる種類は赤子の様な声で泣きますね」
 大きな目が目立つ顔で話す、童顔で髪型もツインテールにしているが背は一六〇を優に超えていて結構なものだ。脚は長くズボンに覆っている。
「そうですよね」
「あの手の妖怪は危険よ」
 良子はその知的な顔を険しくさせて青空に話した、初老であるがまだ艶やかさが残っている、黒髪を奇麗にセットしている。
「知ってるわね」
「人を襲って食べるんですよね」
「そう、中国のそういう手の妖怪はね」
 山で赤子の鳴き声を出す妖怪はというのだ。
「それで人を誘いだしてね」
「襲って食べますね」
「そうした妖怪は色々いるけれど」
 中国では、というのだ。
「中国の山で赤子の鳴き声を聞くとね」
「そこから逃げるべきですね」
「鳴き声のする方からはね」
「そうしないと食べられますね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「注意してね」
「そうですね」
「何か日本にも出るらしいけれど」
「そうした妖怪が」
「動画サイトで見たことがあるわ」
 良子はそちらは暇潰しで観ている、怪談が好きでそこで観たのだ。
「まさかと思うけれど」
「それでもですか」
「いたらね」
 その場合はというのだ。
「気をつけないといけないから」
「そうした妖怪については」
「気をつけてね、ただね」
「伊豆の方のお話は、ですか」
「三宅島のね」
 この島のというのだ。
「そうした妖怪じゃないから」
「人は襲わないですか」
「そうよ、だから安心してね」
 人を襲うことについてはというのだ。
「そうしたことについては」
「では、ただ」 
 青空は良子に怪訝な顔で話した。
「オゴメの姿は」
「そのことね」
「はい、どういったものですか」
「それは伝わっていないわ」
 一切というのだった。
「残念だけれど」
「そうですか」
「というかないみたいよ」
「ないのですか」
「どうやらね」
「というと」
 その言葉を聞いてだ、青空は言った。
「姿がない」
「そうした存在みたいね」
「そうなんですね」
「よかったら」
 ここで良子は青空に提案した。
「遠山さん一緒に行く?」
「その三宅島に」
「そうする?」
「民俗学のフィ―ルドワークとして」
「ええ、どうかしら」
 二人共民俗学者だ、それで良子は青空に提案したのだ。
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