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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
第十二話 予定変更とブルックの町
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「食料の補給がメインだ。旅の途中でな」

ふ〜んと気のない声で相槌を打ちながら門番の男が俺のステータスプレートを確認する。そして、目を瞬かせた。ちょっと遠くにかざしてみたり、自分の目を揉みほぐしたりしている。その門番の様子をみて「あっ、ヤベ、隠蔽すんの忘れてた」と内心冷や汗を流した。

ステータスプレートには、ステータスの数値と技能欄を隠蔽する機能があるのだ。冒険者や傭兵においては、戦闘能力の情報漏洩は致命傷になりかねないからである。

咄嗟に嘘八百を並べた。

「ちょっと前に、魔物に襲われてな、その時に壊れたみたいなんだよ」

「こ、壊れた? いや、しかし……」

「壊れてなきゃ、そんな表示おかしいだろ? まるで俺が化物みたいじゃないか。門番さん、俺がそんな指先一つで町を滅ぼせるような化物に見えるか?」

おどけた仕草で両手を広げる。それに門番は苦笑いをした。

「はは、いや、見えないよ。表示がバグるなんて聞いたことがないが、まぁ、何事も初めてというのはあるしな……そっちの八人は……」

「なくした。以上。兎人は分かるだろ?」

「なるほどなあ‥‥。それにしても随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族と蒼眼の兎人族なんて相当レアなんじゃないか? あんたって意外に金持ち?」

「さあな」

適当にとぼける。

「まぁいい。通っていいぞ」

「ああ、どうも。おっと、そうだ。素材の換金場所って何処にある?」

「あん? それなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞け。簡単な町の地図をくれるから」

「おぉ、そいつは親切だな。ありがとよ」

門番から情報を得て、俺たちは門をくぐり町へと入っていく。門のところで確認したがこの町の名前はブルックというらしい。町中は、それなりに活気があった。露店も結構出ており、呼び込みの声や、白熱した値切り交渉の喧騒が聞こえてくる。

が、その喧騒も少しだけ収まった。無理もないだろう。スラッとした白髪のお姉さん、金髪のロリ、白髪ウサミミ、蒼眼のウサミミが勢揃いしてるのである。傍から見たら絶世の美女勢揃いしてるのだ。見惚れても別に不思議ではない。

すると、血気盛んな男たちがワラワラと群がってきた。

「白髪のお姉さん!俺の彼女になってくれ!」

「金髪の幼女!ご奉仕願います!!」

「「そこのウサミミ!俺の奴隷に!!」」

欲望塗れの言葉が行き交う。当然聖たち含めて女性から痛い視線が男共に突き刺さる。

「蜂起」

「抹消!」

「からの“金剛五十閃”」

容赦なく弾幕を発射。一応威力は最小に抑えてあるが、男共はどこかに吹っ飛んだ。

「やれやれ‥‥行くぞ」

溜息
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