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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
第五話 最愛との再会
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ことを敏感に感じ取ったのか、聖が膝枕を止めてユエを抱きしめる。身長差的には姉と妹にしか見えない。

「ユエはいい子。他の人のために涙を流せるなんて」

「‥‥ぐす‥‥そうなの‥‥?」

「誰かのためだけに涙を流せる人は、少ないよ。自分のためだけなら涙を流す人はいくらでもいる。そんな人を私は今まで多く見てきた」

「‥‥‥‥‥」

重みのある言葉に、ユエは押し黙る。一言一言、噛み締めてるのかもしれない。

「そうだな‥‥人のためだけに泣ける人は、ここにいる人以外は見たことない、かな」

ユエの頭を「よしよし」撫でながらそんなことを言う。

「私は一度死んだから、色んな人を観察した。それしか、できなかったから。そこで分かったのは、世の中汚い人がほとんどなこと。でも‥‥‥」

一拍置く。

「コウの周りに集まる人は、いい人ばかり」

今度は俺が泣きそうになってしまった。慌てて横を向き、一言だけ言う。

「‥‥‥聖のおかげさ」

「あら、嬉しいなあ」

「むう‥‥聖、ズルい」

「んん?ユエもコウのことが好きなの?」

顔を紅くするユエ。ドンピシャのようだ。

「コウは競争率高いよ?現時点で二人いるし‥‥」

「それでも‥‥‥」

「特別は、『私』だからね?」

「それは分かってる‥‥‥その次に頑張ってなる」

「おいおい‥‥」

「「羨ましいなあお前」」

「レイプ目しないでください」

「あ、完成したぞ」

ずっと黙って作業していたハジメが声を出す。

「おお‥‥見た目変わらねえな」 

「今はな。とりあえずこれつけてくれ」

ハジメにナニかを渡される。腕時計みたいなものだ。ストップウォッチにも見える。

「これは‥‥?」

「とりあえず装備を装着から」

ひとまず装備を装着する。

「んで、ここからどーすんの?」

「その腕時計に魔力を流してみろ」

「魔力‥‥こうか‥‥‥ファ!?」

装備が変化を始めた。胸部のプロテクター(シックスパックみたいになってる)が上に持ち上がり、一つになる。さらに180°回転し、少し上に持ち上がった。肩にプロテクターが乗っかる形になる。

「腕時計に赤いボタンがあるだろ?それを押せば高速移動できる。10秒を超えて高速移動したら自爆するから気をつけろよ?」

「リスクも有り‥‥ロマンの塊だな。サンキュー、ハジメ」

「あ、ボタン押すまでは普通にしか動けないからな。少し防御力も下がるから注意だぞ。あと一度使用したら十分は使えないからな」

「オッケー。試してくるわ」


俺は新しくなった装備を試すため、拠点を後にするのだった‥‥‥。
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