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戦国異伝供書
第七十六話 美濃に進みその十一

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「明日より肥田城に向かうぞ」
「して今日は」
「今日はどうされますか」
「この後は」
「うむ、川を渡ってだ」
 新九郎は家臣達の問いに答えた。
「そして休む」
「そうしますか」
「この後は」
「そうしますか」
「そして休む」
 川を渡った後はというのだ。
「そうするぞ」
「ではその時にですな」
「飯も食いますな」
「そうしますな」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「肥田の白じゃ」
「そうしていきますな」
「ではです」
「我等も共に」
「進ませて頂きます」
 皆新九郎に応えた、そうして浅井家の軍勢は肥田城も攻め落とし六角家を完全に破った。敗れた六角家の軍勢は近江の南に退くしかなかった。
 戦は終わり浅井家は六角家からの独立を確かなものにした、ことの次第を聞いた宗滴は強い声でこう言った。
「わしの思った通りじゃ」
「勝ちましたな、浅井家」
「新九郎殿が」
「それも見事なものじゃ」
 こう述べた。
「そうであろう」
「はい、確かに」
「これ以上はないまでの」
「そうした見事なものでした」
「わしの目に狂いはなかった」
 宗滴はこうも言った。
「嬉しいことにな、してじゃ」
「これで、ですな」
「浅井家は六角家から独立し」
「一人立ちしますな」
「そうなる」
 確かにというのだ。
「これでな」
「では、ですな」
「これから当家がどう付き合うか」
「その浅井家と」
「それが問題ですな」
「付き合いは続くが」
 それでもというのだ。
「やはりな」
「殿が言われている様に」
「その付き合いは、ですな」
「これからは」
「薄くなり」
 そしてというのだ。
「織田家とな」
「結びつき」
「そしてですか」
「天下で生きていく」
「そうなりますか」
「わしの見るところな、だからな」
 浅井家がそうするならとだ、宗滴は話した。
「当家もじゃ」
「これよりは、ですな」
「天下の中で生きていく」
「越前一国ではなく」
「そうして生きるべきですな」
「是非な」
 必ず、というのだ。
「そうすべきじゃ」
「左様ですか」
「では、ですな」
「これよりはですな」
「殿にもお話されますか」
「そう考えておる」
 実際にという返事だった。
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