暁 〜小説投稿サイト〜
ようこそ、我ら怪異の住む学園へ
其の壱 四番目の鬼神様
第二話 四番目の鬼神様
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 あの日、元宮は死ぬはずだった。
 何故なら、四番目は願いを叶える鬼神様と呼ばれる怪異であるから。

 ???だが、死ななかった。





「…………う、うわあぁぁあああ??」


 元宮が包丁を振り下ろす。だが、その包丁は四番目の頭に食い込むこともなく、空を切る。
 その後も何度も何度も四番目を切りつけようとするが、全てその刃が四番目を切ることはない。


『何をしているの、愚か者。私はそもそも実体がないから、切れるわけがないでしょう?』


 四番目が足を振り上げる。そして元宮の頭蓋を砕こうとして???すり抜ける。
 元宮はようやく包丁を振る手を止めて、立ち止まる。やがて包丁を床に落とし、頭を抱え……そして。


「えぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええ????」


 と、叫んだ。





 ???それが昨日の話。


『おお、来たね元宮少年』


 今日は四番目に呼ばれて、元宮は再度図書室の奥へとやってきた。
 そこには当然のように四番目が居て、元宮は顔を顰めた。


「……なんで殺してくれないんですか」
『ん? 少年が面白いからだよ。それより、頼みたいことがあるんだけど???』

「ふざけないでください??」


 声を荒げた元宮に対し、多少なりとも驚いたようで。四番目は目を見開いて硬直している。


「願いを叶えてくれるって……そう聞いてたのに、なんで叶えてくれないんですか! それに四番目の悪鬼は人の命を奪ってるって……??」


 そこで、彼は言葉を止めた。いや、止めるしかなかったというのが正しいか。
 彼の喉元には錆びた刀が添えられていて、あと少し動かせば喉を裂き、首を飛ばすことだってできる。


『???それは私のこと?』


 段々と刀が喉に食い込んでいく。一ミリ、二ミリ……


『面白い噂だね、少年。君はそれを信じるの?』


 もう少しで死んでしまうという恐怖から、元宮の体が震え始める。三ミリ、四ミリ……


『私はこの刀で沢山の命を奪ってきた。勿論君の命だって奪うことは可能だ』


 と、そこで刀を押し込む手が止まる。
 四番目は大変面白そうに元宮の顔を覗き込む。恐怖で真っ青を通り越して真っ白になった彼の頬に手を添え、そして言う。


『聞こう。君はこれでも死にたいと思う?』
「……………………い、い……え」


 震えた声が静かに響く。それを聞けば、四番目はパッと刀を抜いた。


『……ぷっ、あはははは?? 面白いね、やっぱり!』


 急いで喉を触る元宮。だが、その手に血はついていない。というか血はおろか、傷さえついていない。
 腹を抱えて笑う
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ