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曇天に哭く修羅
第一部
Round Zero
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翔。

今の二人がしている動きは普遍的な【魔術師】であれば魔晄による身体強化が有ろうとも肉眼で捉えることは叶わないだろう。

だが紫闇なら見えるはずだ。

さんざん格上と戦ってきたのだから。


(慣れてきた)


紫闇は離れようとする逃げの挙動から足を止めて翔の方に振り向く。

徐々にジャブを防ぎ、(かわ)しだす。

カウンターで蹴り返してやろうと思った彼だったが出鼻を(くじ)かれる。

翔はハンドスピードを上げてきた。

カウンターに割り込み足を使わせない。

翔にとって今の速さは序の口。

まだまだ遊びのようだ。

しかし対する紫闇も慌てなかった。

想定していたのは江神春斗。

速さと技が自慢の超が付く凄腕の剣士。


「想定内だよこの野郎」


紫闇の足裏からも音隼。

重力に逆らう機動で(かかと)を落とす。

トリッキーでファンブルなアクション。

しかし翔は苦にしない。

フットスピードを上げて僅かに体を後ろに下げると左フックのようなジャブを落ちてくる足に引っ掛けながら体を右へと回し気味に退避。


(江神の前に良い練習台が出来たな)


時間を掛けて修得した【打心終天】や寝技への持ち込みを試すには最低でも今の翔くらい速い相手でないと意味が無い。

江神はそれほどに速いのだから。


(俺を叩き台にするつもりか。良いだろう。俺はあの男ほど優しくないぞ)


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