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ツンデレバレンタイン
第一章

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                ツンデレバレンタイン
 平田真帆はバレンタインが近付くにつれてそわそわとしだした、それで友人達に対して不安な顔で話した。
「どんなチョコがいいかしら」
「どんなって言われても」
「そう言われてもね」
「具体的には」
「どうかって言いかねるわよ」
 友人達はこう真帆に返した。
「チョコっていっても色々だしね」
「バレンタインの」
「お店でも一杯売ってるし」
「義理ともなるとね」
「義理?馬鹿言わないでしょ」 
 その言葉にはだ、真帆は即座に反応を示した。
「あいつにね」
「ああ、岸田君にね」
「遂に告白するのね」
「何時するのかって思ってたけれど」
「やっとなのね」
「やっとじゃないわよ、あげるだけよ」
 身振りまで入れてだ、真帆は言いつくろった。両手は拳になって自分の前で縦にぶんぶんと振っている。
「ただそれだけよ」
「またそう言うんだから」
「本当に素直じゃないわね」
「そんなのだから告白出来ないのよ」
「お話進まないのよ」
「進むとかじゃなくて」
 やはり必死に言う真帆だった。
「あげるだけよ」
「その時にもう言うのよね」
「絶好の機会だしね」
「バレンタインってそういう日でもあるし」
「それでよね」
「違うわよ、あげるだけよ」
 真帆は素直でない、その性格を今は全開にしていた。それで言うのだ。
「たまたまチョコが余ったからね」
「まだ一個も買ってないのに?」
「クラスの男の子達への義理チョコは皆で買って一括なのに」
「女の子達でね」
「それでそう言うの?」
「余ったからなの」
「パパとお兄ちゃんにあげて」
 家族まで出して言うつくろう。
「それで弟にもあげてね」
「それであまったの」
「そうだっていうの」
「それだけなの」
「そうよ、それでどんなチョコにするか」
 とにかく必死に言い続ける。
「考えてるのよ」
「そう言われてもね」
「もう本命でしょ」
「それなら手作りでいったら?」
「それでいいでしょ」
「手作り、ね」
 真帆は友人達のその言葉に反応した。
「そうね、やっぱりね」
「それがいいでしょ」
「お店で買ったのあげるよりもね」
「そっちの方がいいでしょ」
「そうでしょ」
「ええ、決めたわ」 
 真帆はこれまでの必死さを消して真面目な顔になって述べた。
「私それでいくわ」
「よし、これで決まりね」
「岸田君には手作りね」
「それあげるのね」
「そうするわ、余ったのをね」
 持ち前の素直でなさが復活した。
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