暁 〜小説投稿サイト〜
今年も同じく
第三章

しおりを登録しました
[8]前話 [2]次話
「あのシーズンからな」
「今に至るまでね」
「リーグ優勝していないからな」
「それでなのね」
「来年こそはだよ」 
 まさにというのだ。
「本当にな」
「優勝するっていうのね」
「リーグ優勝して」
 二〇〇五年以来のそれを果たしてというのだ。
「そしてだよ」
「クライマックスも勝ち抜いて」
「シリーズも勝って」
 そうしてというのだ。
「胴上げもするよ」
「言うわね、ただね」
「それは広島って言うんだよな」
「そうよ、お兄ちゃんにとっては残念だけれどね」
 千佳は寿に胸を張って言い切った。
「日本一は広島のものよ」
「言ってくれるな」
「勿論巨人は叩きのめすわ」
 邪悪の権化であるこの忌まわしいチームはというのだ。
「言うまでもなくね」
「そうしてか」
「そうよ、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「悪いけれど他のチームもよ」
「阪神にもか」
「例年通り勝ち越させてもらうから」
「言ってくれるな、来年こそはな」
「カープにも勝ち越すのね」
「そして何度も言うが日本一になってなるからな」
 こう言ってだった、そのうえで。
 千佳は広島の祖父の家に向かった、寿は元旦まで家にいてだった。
 除夜の鐘の音を聴きつつ母に言った。
「じゃあ今からね」
「西宮に行って来るのね」
「あっちにね」
「毎年通りそうするのね」
「そうしないと」
 それこそとだ、寿は母に言った。
「阪神の為にも」
「あんたのことはお願いしないの」
「することはするけれど」
 それでもというのだ。
「成績と健康のことはね、けれどね」
「第一はっていうのね」
「阪神が優勝したら凄いことじゃない」
 寿は母に熱い声で語った。
「日本中がフィーバーになって」
「お祭り騒ぎになるわね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「今年こそはだよ」
「日本一になるのね」
「そのことをお願いしに行くんだよ」
 初詣へのそれでというのだ。
「今からね」
「そうするのね」
「そうだよ、じゃあ行って来るよ」
「やれやれね、千佳も今頃は」
「あいつは厳島だから」
「同じね、何でうちの子達はこうまで野球好きなのかしら」
「野球は好きだよ、けれど」
 寿は母に熱い声のままで語った。
「それ以前にそれ以上にね」
「阪神が好きなのよね」
「阪神は僕の全てだよ」
 こうまで言っていいものだというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ