第63話
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皇女でありながらアッシュのように変装もせず正規軍もうろついているこの町を堂々と歩いているお二人さん程ではないぜ。」
「テメェ……」
「どうやらクロウやレン皇女殿下の事も知っているようだが……一体彼は何者なんだい?」
口元に笑みを浮かべて答えたミゲルの指摘に驚いたクロウは目を細めてミゲルを睨み、アンゼリカはアッシュにミゲルの正体を訊ね
「名前はミゲル。噂話だの裏話だのをかき集めてメシの種にしてる胡散臭いオヤジだ。」
「なるほど、所謂”情報屋”ね。」
「……一体何の用?」
アッシュの説明を聞いたレンは納得した様子で呟き、フィーは警戒の表情で二人を睨んだ。
「いやー、挨拶ついでに礼を言っとこうと思ってねぇ。おかげでいい小遣い稼ぎをさせてもらったことだし。」
「ハッ、やっぱりそういうことか。……てめぇだな、ブラッド?商会の若サマに、ミゲルを通じて俺らの情報を売ったのは。」
「やはりか……」
ミゲルの話を聞いて事情を察したアッシュは自分達から目を逸らしているブラッドに視線を向け、それを聞いたアンゼリカは真剣な表情を浮かべた。
「クク、相変わらず勘が良くて頭の回るガキだぜ。そういうところも含めて気に入らないんだよな、ブラッド?」
「ああ――――――昔からな。……正直、スカッとしたもんだぜ?スパイだか何だか知らねぇがてめぇがパクられたって聞いたときにはな。」
「っ……そんな…………それでも君はアッシュ君の――――――」
「……ハッ、バカの言う事だ。いちいち相手にしてるんじゃねえ。どうせ上手い事、ミゲルの口車に乗せられちまっただけだろうしな。」
ブラッドの話を聞いて唇を噛み締めたトワは反論しようとしたがアッシュが鼻を鳴らして反論を制止した。
「な、なんだとてめぇ――――――」
一方アッシュの言葉に頭に来たブラッドはアッシュを睨んだが
「あー、聞くな聞くな。所詮は大罪人の吠え面ってヤツだ。――――――ま、今回は失敗しちまったがせいぜい身の振り方は弁えとくことだ。」
ミゲルが制止して嘲りの笑みを浮かべてアッシュを見つめた。すると先程のヒューゴのように二人の足元から黒い瘴気が現れた!
「またこの町でデカい顔してたら次こそ吊るし上げてやるからよ?」
「ヘっ……そういうことだ。覚えてろや、アッシュ!」
そして二人はその場から立ち去った。
「ねえ、今のって……」
「ああ…………ヒューゴ君の時と同じだね。」
「帝国の”呪い”か……」
二人が去った後不安そうな表情をしたトワの言葉に続くようにアンゼリカとクロウは重々しい様子を纏って呟いた。
「……ハッ、あの小心者のオッサンが政府相手に商売、おまけに戦争相手に睨まれる可能性があるとわかっていてそこのチビ猫の情報まで売ったってのも引っかかってたが。ま、今は気
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