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おぢばにおかえり
第五十七話 卒業式その三

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「残る娘もいるわね」
「結構残る娘多いわよ」
「天理大学に行ったり本部勤務になったりしてね」
「詰所でひのきしんする娘もいるし」
「あと専修科とか他の学校行く娘もいるし」
「そうよね、案外ね」 
 高校の三年間だけでなくです。
「皆残るのよね」
「天理高校を卒業してもね」
「それに卒業してもお付き合いあるしね」
「何かと」
「そうよね、そうなると」
 本当にです、私達は。
 それからこの三年間のお話をしました、そのお話も何かと色々ありました。そしてそのお話を聞きますと。
 ふとです、皆に言われました。
「ちっち彼氏いるでしょ」
「そうでしょ」
「彼氏出来たでしょ」
「いないわよ」
 そこははっきりと答えました。
「言っておくけれど」
「えっ、嘘でしょ」
「ちっちいつもそう言ってるけれど」
「それは嘘よね」
「というかちっちが気付いていないのね」
「いや、気付いてないって」
 そう言われるとです。
「本当に周りにそんな人いないから」
「あの後輩の子がでしょ」
「ちっちあの子といつも一緒にいるじゃない」
「一年生のあの子ね」
「年下の子ね」
「だから阿波野君は」
 誰かはすぐにわかりました、一年の子と言われるとです。
「只の後輩で」
「そこで何もないって言うのね」
「まあそういうのがちっちだけれど」
「だからいい加減気付いたら?」
「ちっちもね」
「気付くって言われても本当に何もないわよ」
 どういう訳かたまたま毎日会って一緒に歩いたりするだけです、本当にそれだけの関係で他には何もありません。
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