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 覗き見のつもりで入ったゲームセンターで、わたしと彼は勝負をしていた。難しそうなクレーンゲームの景品であるぬいぐるみを、どちらが先に取れるかというものだ。それぞれ一回ずつ交代でプレイすること、敢えてミスを誘うような声掛けや助言もなし、というルール付きである。勿論、機器を揺らすだとかスタッフが飛んできそうなズルも禁止だ。

「チッ、大して動かなかったか」
「はい交代〜。ううん、どこ狙おう?」

 何手目だったか予想だにしない方向へぬいぐるみが落下したため、どこを持ち上げればいいのか分からなくなっている。狙い以外にアームが当たらない位置かつ、しっかりとホールドしてくれる部位へ動かさなければ。

「えーと、この、辺で……、あっ」
「あー、隣のに当たった、お?」

 それから数回ほど彼と交代し、諦め半分な気持ちとつぎ込んだからにはという、やけくそ感に苛まれながらアームが降下していくのを眺めていた時だ。一本が近くにあったぬいぐるみに接触してしまい、また失敗かと肩を落としつつ場所を変わろうとしたところ。同じく残念そうにしていた彼が驚いた声を上げ、反射的に顔を上げてみれば、偶々だろうが丁度いい位置にアームがささっていたのだ。もしや、と一定の速度で上昇し始めたぬいぐるみを息を呑んで見守る。
 少しのずれはあったが限界まで上りきった機械は、続いて横方向へ移動する。大抵はこのタイミングの前後でするっと掴んでいたものを落としてしまうのだが――。

「! とれた!」
「やったな」

 景品落下口の上でアームが開き、ぼとりという音を立ててぬいぐるみが落ち、明るい効果音が流れ出す。嬉しさにすぐさまハイタッチをしてしまった。更にはそのままのテンションで彼に飛び付いて、ぎゅうとくっ付く。

「あー、あー。分かったから離れような」
「ん。ぬいぐるみも取らなきゃね」

 僅かに照れたような困惑した声と共に、頭を軽く撫でられてから腕を放す。勢いって恐いな、と内心で反省しつつ取り出し口から手にしたぬいぐるみは、思ったよりも大きく両手で抱えた方がよさそうだった。存外柔らかい生地に頬を摺り寄せ彼を見上げると、穏やかな表情を浮かべていてわたしが恥ずかしくなってくる。

「はい、手触りいいから触ってみて」
「お、おう」

 体の前に差し出し、何故か恐る恐る感触を確かめる姿が面白くてそのまま彼に押し付けてみた。戸惑いながらも先程のわたしと同様に、しっかりと両腕で抱え込んだところを素早く写真に収める。慌てて止める声も無視してゲームセンターから出れば、当然ながら追いかけて来るよね? よし。

「待て! せめてコレは持ってってくれよ」
「ええ? クーが持っててもかわいいよ、かわいい」
「男がンなこと言われてもな、ってだから逃げんな!」

 振り
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