第二百七十五話 ジェイソン
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第二百七十五話 ジェイソン
大した用事ではないと言いましたが。それでもカナダは勇気を出すことにしました。アメリカには言わないとわからないということは彼もよく知っていたからです。もっとも言ってもわからない時が多いのがアメリカの困ったところですけれど。
「あのね、言うけれど」
「うん」
「君が世界中で威張り散らすから被害を受けるのは僕なわけで」
間違えられて殴られたりするからです。本当に迷惑しているのがよくわかります。
「それをなおしてもらえたらいいかなあっ、って思ってさ」
言いにくかったですが何とか言いました。しかしここでアメリカを見ると。
「えっ!?」
眼鏡が少しずれてその横に動いたままのチェーンソーを持っています。物凄い迫力があります。これでホッケーマスクを被ったらもう。カナダはそのチェーンソーに映る自分の顔を見ました。はっきりと怯えています。
「ななななーーーんてね!」
それで慌ててこの場を取り繕いました。
「僕はそんなことこれっぽっちも思っちゃいないよ!ははははは!」
「そうじゃなくて聞こえなかったんだよ」
実はそうだったんです。聞いただけなのにチェーンソーが物凄い効果を出していただけなのです。
「今何て」
「ははははは、僕達は親友だよな!」
無理矢理そういうことにして。
「それじゃあ!」
逃げるようにアメリカの家を去りました。やはりカナダではアメリカに言うのは難しかったのです。
それで家に帰って。落ち込みながらクマ二郎に言います。
「今日も奴に何も言えなかったよ、クマ吉さん」
「君誰?」
「カナダだよ!」
クマ二郎さんにもやっぱり名前を覚えてもらっていませんでした。実に踏んだり蹴ったりです。
第二百七十五話 完
2008・8・15
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