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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第11話:今はまだ早すぎる
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あの後、再びテレポートの魔法で奏達と共に二課本部に戻ってきた颯人は、司令室で早くも了子からの質問攻めに遭っていた。
目下最大の質問内容は、やはりウィザードの事だった。
特に、シンフォギアでもないウィザードがどうしてノイズに普通に攻撃できるのか? 誰もが当然のように抱く疑問を、言葉が物質化したのではないかと言うくらいの勢いで叩き付けられ、流石の颯人もその勢いにタジタジとなってしまった。
だがこの質問も想定内、寧ろ来なかったら逆に不気味で仕方なかっただろう。
しかし流石に何時までもノイズへの警戒と言う業務を疎かにする訳にはいかないので、今颯人の話を聞いているのは弦十郎と了子、装者3人の計5人であった。
そこで彼は早速了子からの質問に答えた。
「んで、何でウィザードが…………って言うか魔法がノイズに普通に通用するかだけど…………」
「うんうん?」
「端的に言えば魔力ってのがそういう力を持ってるんだよね」
「と言うと?」
「早い話が、魔力は『あり得ない事をあり得る事にする』を可能にする力ってこと。こんな風にね?」
〈スモール、プリーズ〉
言うが早いか颯人はスモールの魔法で自身を手の平大に小さくして見せた。
精巧に作られたフィギュアかと言うほどの大きさの颯人がソファーの上で手を振る様子に、しかし流石にそろそろ颯人の魔法に対してある程度耐性が出来たのか期待していたほどの衝撃は与えられなかった。
単純に感覚が麻痺しただけとも言えるだろう。
この短時間でこれほど何度も物理法則を無視した現象を見せられたら、嫌でも慣れるというものだ。
それに、物理法則の無視に関してはシンフォギアも決して他人の事は言えない。それこそ質量保存やエネルギー保存の法則すら無視しているシンフォギアも、見方を変えれば魔法と大差はないだろう。
だがそんな中で了子は彼の言いたいことをここで理解した。よくよく考えてみれば、人間がそのままの姿を維持しながら体のサイズを縮小し尚且つ意識を保ち続けているというのは科学的に考えてあり得ないのである。
端的に言うと、人間を含めた全ての生物の大きさは細胞の数で決まるからだ。
細胞はそれ自体が生命体を構成する最小の大きさの物体であり、生命体そのものの大きさはこの細胞の数に左右される。もし現実に颯人を手の平サイズに縮小しようと思ったら、細胞の大きさはどうにもならない以上細胞の数そのものを減らすしかない。
そしてそれをやった場合、必然的に脳細胞も数を減らされるので、結果を言うと縮小した時点で本来であれば彼の頭の中はパーになる。
いや、パーになるだけで生きていれば御の字か。下手をすると生命を維持する事が出来なくなり縮小した時点で彼は死んでいたかもしれない。
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