第四章
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「そうだよね」
「そうそう、元服してね」
「それいいね」
井上は佐藤からその通りという確認の言葉を受けて羨望を以て述べた。
「しかも王様とか偉い人は側室の人も一杯いて」
「凄かったらしいね」
「そうなりたいよ」
心からだ、井上はこの言葉を出した。
「本当にね」
「夢だね」
「まさにね」
それだというのだ。
「僕は思うよ」
「そうだね、僕もね」
斎藤にしてもだった。
「そう思うよ」
「そうだよね」
「ハーレムとかね」
「いいね、そういえば」
井上はふと思い出したことがあった、その思い出したことは何かというと。
「井上靖の風林火山読んだけれど」
「山本勘助の?」
「武田信玄も側室の人いたんだよね」
「あの人結構子沢山だったよね」
「正室の人がいて」
そしてというのだ。
「側室の人もいたね」
「あの時はそれが普通だからね」
「諏訪御料人とかね」
武田信玄のロマンスの相手だったとも言われている、若くしてなくなったというが若き日の信玄と彼女の話はこの作品だけでなく他の作家の作品の題材にもなっている。
「有名だよね」
「そうそう、ただね」
「ただ?」
「これも信玄さんだけじゃないけれど」
佐藤はこう前置きして井上に話した。
「男の人の方もね」
「ああ、日本同性愛も普通だから」
井上にしても知っていた。
「そっちもだね」
「有名だよね」
「そうだね、ただ僕は」
「同性愛もだね」
「そっちの趣味もないから」
サディズムやマゾヒズムだけでなくというのだ。
「別にいいよ」
「正室さんや側室さんの方にだね」
「そっちがいいから、戦国ものだけじゃなくて歴史もの読んでも」
そちらの純文学もというのだ。
「やっぱりね」
「女の人のこと思うね」
「絶対にね、それも強く」
「やっぱりそうだね」
「思わずにはね」
それこそというのだ。
「いられないよ」
「やっぱりそうだね」
「幕末もの読んでも」
日本の歴史で戦国時代と並ぶ人気の時代である。
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