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おぢばにおかえり
第五十六話 卒業式の前その十

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「ないわ」
「そうなのね、けれどね」
「お母さんは違うのね」
「ええ、こうしておぢばに帰ってね」
 そうしてというのです。
「参拝させてもらって親神様、教祖様、祖霊様にお会い出来るって思うと」
「嬉しいのね」
「神戸にいるでしょ」
「あっ、いつもおぢばに帰る訳じゃないから」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「おちばに帰らせてもらえるだけでも嬉しくて」
「それでなの」
「そう、本当にね」
 まさにというのです。
「おぢばに帰るだけで嬉しくて」
「神殿にお参りさせてもらって」
「さらに嬉しくなるの」
「そうなのね」
「千里がそう思わないのはね」
 私にそれがどうしてかも言いました。
「今はいつもおぢばにいるからよ」
「だからなのね」
「そう、おぢばに住まわせてもらうことは有り難いことだけれど」
「そこでお会い出来ることを嬉しいと思わないと」
「その分だけ残念よ」
「そうなのね」
「千里がそのことをわかる様になればね」
 教祖殿の入り口で私に言ってくれました。
「また一つ成人したことになるわ」
「成人ね」
「そう、じゃあ今からね」
「教祖殿でね」
 教祖様に参拝です、今も魂はこちらにおられる教祖様に。
 教祖殿は全体的に赤い雰囲気です、灯りがそのせいかそうなっています。教祖様も赤い着物を着ておられました。
 二人で参拝してです、それから次は祖霊殿に向かいますが。
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