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戦国異伝供書
第六十八話 上洛に向けてその十二
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「お主達の主をな」
「お守り致します」
「例え何があろうとも」
「我等がです」
「そう致します」
「そうせよ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「お主達も生きるのじゃ」
「戦いつつ」
「勇敢であってもですか」
「死んではならん」
「そうなのですな」
「左様、お主達も絶対にじゃ」
 それこそというのだ。
「死んではならぬぞ、死ねば竹千代が悲しむしのう」
「ですな、竹千代様は我等を深く慈しんで下さっています」
「まるで家族の様に」
「我等岡崎衆はまとまりがよいと自負していますが」
「竹千代様は特にです」
「我等を慈しんで下さっています」
「ならじゃ」
 それならというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「我等もですな」
「生きる」
「そうあるべきですな」
「そうするのじゃ」
 こう言ってだった、雪斎は元康と彼の家臣達を連れて川中島にまで赴いた、そこでは赤と黒の軍勢が睨み合っていたが。
 元康は彼等の布陣とそこから立ち込める気迫を見て思わず息を飲んだ、そうしてそのうえで雪斎に話した。
「確かにです」
「あの軍勢にはじゃな」
「どちらにもです」
 武田家と上杉家、どちらの軍勢にもというのだ。
「勝てませぬ」
「そう思うな」
「布陣が見事なだけでなく」
「気迫が違うのう」
「全く以て」
「薩摩も島津家も強いというが」
「武田家と長尾家もですな」
 その彼等を見続けつつだ、元康は話した。
「強い」
「そして将帥、特に総大将のな」
「武田殿と長尾殿が見事な方々だけあって」
「おそらく島津家よりも強い、島津家はご当主の四兄弟の方々が凄いというが」
「他の将帥の方々が」
「流石に両家には及ばん」
 武田家、上杉家程はというのだ。
「だから今天下最強の軍勢はな」
「どちらかですか」
「今我等が見ておるな」
「左様でありますな」
「だからな」
 雪斎はさらに話した。
「今を機会にな」
「見ておくのですな」
「そしてじゃ」
「外の政もですな」
「見るのじゃ、ではまずは武田殿の陣に赴き」
「武田殿とお話をされ」
「その後で長尾殿ともな」
 彼とも、というのだ。
「お話をしてな」
「そうしてですな」
「話を収める、両家の和睦を果たし」
「その後で」
「三つの家の盟約もな」
 こちらもというのだ。
「確かなものにしてな」
「そぬうえで」
「ことを果たしていくぞ」
「それでは」
「慌てることも怯えることもない」
 その両方共、というのだ。
「一切な」
「落ち着いてですか」
「そうしてじゃ」
「ことを進めるのですな」
「そうせよ、お主はどちらもないが」
 大事を前にして慌てることも怯えることもないというのだ、実際に元康にはそう
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