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おぢばにおかえり
第五十六話 卒業式の前その九

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「千里も時間があったら」
「この神殿を参拝したり」
「あと詰所で色々な人とお話をしたり」
「そうしてなのね」
「色々と人と会ってね。大学でもね」
 四月から通う天理大学でもというのです。
「いいわね」
「ええ、沢山の人とお会いしてお話して」
「ひのきしんやおたすけもしてね」
 おみちのこともして、というのです。
「種を蒔いてね」
「これからの四年も大事なのね」
「そうなの。だからね」
 お母さんも教祖殿を見つつ言います。
「色々ないいことをしないさいね」
「そうよね。そういえば」
 ここで私は思い出したことがありました、そのことはといいますと。
「最近お墓地にお参りしてないわ」
「そうなの」
「初代大教会長さんのお墓にもね」
「教祖様のお墓にも」
「そうなの」
 お墓は他には歴代の真柱さんや本席さんものもあります。
「だったら」
「ええ、卒業までにね」
「一回お参りしてくるわ」
「そうしなさいね、それで今からね」
「ええ、教祖殿にね」
「お参りするわよ。教祖様にお会いすると思うと」
 お母さんは自然と笑顔になって言いました。
「嬉しいわ」
「ううん、そう言われると私は」
 おぢばにいさせてもらっているのにです。
「そう思うことがね」
「ないのね」
「そうした気持ちは」
 言われてみると本当にありません。
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