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曇天に哭く修羅
第一部
打算による立ち会い
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よう)】で学年序列を取り合う番付勝負をしているよりよっぽど有意義な時間を過ごせそうだ」


紫闇と春斗は嬉々として目を輝かせ、愉悦に口元を歪ませながら闘志を剥き出しにした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「焔さーん。そいつ死んだの?」


《エンド・プロヴィデンス》が様子を尋ねる。


「君なら判ると思うけど、まだまだ未完成で成長段階の惜しい逸材だからね。彼女が熟すのを待って出来上がってから(いた)だくよ」


そう言って焔は《的場聖持(まとばせいじ)》に近付く。


「ところで聖持君。そっちの二人がヒートアップしてるけど何か有ったの? 今にもおっ(ぱじ)めそうな雰囲気なんだけど」

「焔さんに許可を得たらやるみたいですよ」


断りを入れずとも構わないのだが、自分とクリスの戦いが終わるまで待ってくれていたのは焔にとって有り難いことだった。


(これで思う存分に江神を観察できる)


紫闇は春斗を倒したがっている。

しかし今はまだ無理だ。その為にも紫闇をどう育てるかに必要な情報が欲しかった。


(是非とも欲しいそれをくれるって言うんだから願ったり叶ったりだよね。紫闇にも江神との差を身を以て実感してもらえるし)


焔が見た春斗の感想は『腕が立つ』学生魔術師だがその腕の段階が尋常ではない。

ただ『鬼』ではないことも判ったので自分が望む相手というには不十分だった。

それを帳消しにする強さなら話は別だが。

焔は二人の立ち会いを許す。


「これで心置きなく戦えるってわけだな。この拳でお前に刻んでやるぜ江神春斗。立華紫闇という存在を。先ずはそこからだ」

「俺は【夏期龍帝祭】に出ない。クリスには優勝すれば相手をすると言ったが正直なところ彼奴(きゃつ)が優勝するのは難しい。エンドや聖持が出ずとも貴君が居るからな。しかし今の立華だと万が一で遅れを取ることが有り得る」


春斗は体の真横に赤い[装紋陣(サークル)]を浮かべると漆黒の鞘と鍔が無い柄に納まった『直刀』の魔晄外装を引き出す。

彼の熱意に溢れた瞳が紫闇に向く。


「立華が優勝する為の確率を少しでも上げる為に俺も協力させてもらおう。クリスが優勝できたとしても戦う気がしないのだ。奴は自分の異能を使いこなせていないように思えるのでな。せめて今の紫闇を普通に倒せる位になってくれれば別だが」

「へっ、打算だろうが理由はどうあれ俺はお前と戦うのを楽しみにしてたんだ。お前と【魅那風流剣術】を確りと味合わせてもらうからな。そうすりゃあ夏期龍帝祭の相手は楽勝だろうから」

「立華がどういう魂胆でも構わん。俺を利用して強くなるが良い。簡単には追い越せん。此方(こちら)
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