第一部
歴然
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ないゴリ押しの正面突破に苦笑い。
「確かにクリスの火力なら防御力の有る異能無しで耐えられる魔術師は多くないだろう。だがしかし、お前の正面に立っている黒鋼焔はその『多くない』分類に入る」
そう言い放つ春斗に限らず他のクリスと焔の戦いを見ている者も判っていた。
この戦いでクリスが勝つことは無いと。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ブゥゥレェイカアアアアアアアッッ!!」
絶叫するクリスからトリガーハッピーに押し寄せる波の如き勢いで銃弾・砲弾・弾頭が対峙する焔に対して押し潰すように到来。
(攻撃の密度は有るね。だけど)
焔は展開していた魔晄防壁を膨らませて防壁を強化すると[黒鋼流練氣術・三羽鳥ノ一・盾梟]を発動し、全ての攻撃を弾き飛ばす。
召喚する重火器と延々続く爆発的な大火力による攻撃から『爆裂戦姫』という渾名で呼ばれるようになったクリスの攻撃力が通じない。
カメラフラッシュのように視界を埋め尽くす無数のマズルフラッシュと頑丈な体育館の床や壁を削っていく異能の着弾に爆風は焔を包み込んで途切れることは無いが、焔はまるで微風程度にすら感じていないかのように余裕の笑みを浮かべ続けている。
(今の紫闇でも暫くは耐えられるくらいの攻撃力なんだろうけど、流石にネバーエンドの魔晄が切れるまで浴びてはいられないだろうからな。焔さんは当然のように大丈夫なんだが)
聖持は焔とクリス、二人の間に存在する隔絶した力の差を正しく認識していた。
闘技者としての次元が歴然なのだ。
「あああああー! もおおおおー! 腹っ立つわねええええー! こんなんで怯むタマじゃないでしょうアンタは! さっさと本気出しなさいよおおっ! それともあたしの強さにビビってんのおッッ!?」
聖持とエンドがクリスの台詞に噴く。
「お前だって本当は理解ってるんだろう? クリス・ネバーエンド」
「違う。違うんだよクリス。『格』が」
比べることが烏滸がましい。
「うーむ。君は随分『強さ』という概念に執着してるんだねクリス。何か理由でも?」
「決まってるわッ! 馬鹿にされたくないッ! 見下されたくないッ! 逆にそういう風に私を見るクソッタレをブッ壊して魔術師の頂上に登るッ! そして私がどいつもこいつも見下す! その為に私は世界最強にならなきゃいけないのよッッ!!!」
焔はクリスの答えが気に入ったのか笑みが深く凶暴なものとなり、顔貌に鬼を宿す。
「素敵な夢じゃないか。でも───」
次の瞬間、クリスの体がコの字に折れて吹き飛び体育館の壁に激突する。
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