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戦闘携帯のラストリゾート
親しき仲にも礼儀なし
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チュニンの動きを一瞬止めた。
 わたしも声の方を見ると、一匹のラフレシアが自分の大きな花をぼよんぼよんと揺らしながら歩いていて。
 花の上に乗った着物のお姉さんも、咥えた煙管の煙と豊満な体を揺らしながら野次馬とわたしたちを見る。

「しかしルビア姉さま! これはキュービ姉さまのご命令で……」
「ご命令、なあ。確かにこのおねーさんが少年に襲われとったりしたらチュニンはお仕事せなあかんね?」
「ですが!!」

 言葉が遠回しでわかりにくいけど、チュニンの態度からするとこのルビアという人はチュニンの行動を嗜めているみたいだった。

「なあチュニン、あの坊のことはわちきに任せてなー言うたやろ? チュニンの仕事はリゾートに来たお客さんの警護、違うん? こんな風にはしゃいで、このおねーさんもチュニンのこと怖ーなってまうよ」
【この人が、先程話に出た遊花区のシャトレーヌですね。騒ぎを聞きつけてやってきたのか、あるいはチュニンの暴走を察知したのかでしょう】

「っ……申し訳ありません、お客様! このチュニン、第一予選をやり遂げたことでつい舞い上がってしまい……」

 チュニンが周りのお客さんに謝る。まずわたしとサフィールに謝ってほしい……それを言ってもかえってややこしくなる。
 グソクムシャを戻し、わたしはラフレシアの上のシャトレーヌに話しかける。

「お嬢さんも堪忍な。お詫びも兼ねて、うちのお店にご案内しよーか?」
「どういうことなのか、あなたが説明してくれるの?」
「聞いてたよりしっかりした女の子みたいやし、答えられることは答えよか。そっちの管理者はんも、それでえーね?」
【……そうですね。お招きに預かりましょう、ラディ】

 ラフレシアと目が合う。小さな手で大きな自分の花を示した。乗っていく? と聞いているみたい。
 まるでトランポリンみたいに柔らかい花びらの乗り心地には興味があるけど──わたしは首を振った。
 
【歩きすがら、彼女についての情報をお話しましょうか?】
「……お願い」

 チュニンは野次馬に謝ったり握手したりしていてこちらにかまう余裕はなさそうだった。前を歩くシャトレーヌが何を考えているとしての、話を聞くしかない。自分のお姉さんに虐められるサフィールを見て、無関心でいるなんて……わたしには、できない。

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