暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第4話:迫る分岐点
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、今にも死にそうな少女に声をかけ続けた。

「死ぬな! 死んじゃ駄目だ! こんな、こんな────!?」

 血を滴らせ、身動ぎしない少女に、奏は3年前の颯人の姿を重ねた。

 その瞬間、彼女の口は自然に動き『あの言葉』を口にした。

「『こんなところで生きるのを諦めるなッ!!』」

 その言葉は、嘗て己が言われた励ましの言葉。家族を目の前で失い、生きる気力を失いつつあった自分の心を奮い立たせてくれた、魔法の言葉だった。

 嘗ての自分に掛けられた魔法が少女にも通じたのか、少女は薄らと瞼を開く。

 その事に奏は僅かに安堵するが、状況が最悪なことに変わりはない。このままでは少女は出血で死ぬか、ノイズに炭にされて死ぬ。そうなる前に、決着をつけなければならない。

 そこまで考えた時、奏の中で決心がついた。一つだけあるのだ。この状況を打開する手立てが。
 だがそれは、奏自身の命を引き換えにした行為だ。やってしまえば、彼女は助からない。

 だがそれでいいのかもしれない、と奏は思っていた。このままでは被害は広がる一方だ。
 ならば、ここで『最後の歌』を歌って会場に居る全てのノイズを道連れにしてやればいい。

 勿論心残りがないとは言わない。相方の翼の事は心配だし、未だに見つけること叶わぬ颯人の事だって心残りだ。

 しかし、ここで我が身可愛さに取れる手段を取らずにいたら、その方が後悔する。それだけは許せなかった。

 ──ごめん、颯人。見つけてやれなくって。あたし、お前の希望にはなりきれなかったよ──

 奏は心中で颯人への謝罪を口にし、そして、諸刃の刃とも言える歌を口にした。
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