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シルバーマンジム のビスケット・オリバ
始動するビスケット・オリバ
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オーラや凄味を感じた。

「分かりました。チャレンジしてみましょう。」



重量が重量なだけにベンチプレスの補助は3人で行う事になり、手の空いているトレーナーを呼び補助を手伝ってもらう。下手をすれば怪我をするだけでなく命に関わる可能性もあり、自然と緊張感が高まっていく。まるで大会前の様な緊迫した雰囲気に周りの注目も集まり、人垣が出来てきた。
「何してるんだ?」「ベンチプレスだとよ」「記録でも取るのか?」「凄え筋肉だなァ」
そんな人垣の中に奏流院朱美もいた。
奏流院朱美は重度の筋肉フェチである。ボディービル大会を巡り様々な筋肉を見てきた。そんな彼女からしてもビスケット・オリバの筋肉は理解不能であった。
(彼は一体何者なの…?)
一目見た瞬間から感じたイメージ。まるで何十メートルもの筋肉の塊が無理矢理人の形に収められたかのような映像を幻視した。
「準備が出来ました」
その言葉で思考を中断し、これから起こる事を全て目に焼き付けんと意識を切り替え見た光景は


「フンッ」


そんな特に力を入れた様子がない気合の入れ方で600kgもの重量を軽々と持ち上げるビスケット・オリバの姿であった。

街雄達トレーナー含め周りの野次馬は驚きで言葉を発する事が出来ずに固まる。
そんな反応を気にすること事もなくビスケットオリバが行ったのは

更に二回目を行う事であった。
確かにベンチプレスをトレーニングとして行うならば2度目3度目と続けるのは当たり前の事である。
しかし世界記録を軽々と超えた重量をトレーニングとして使うというのは想像も出来ず、一度で終わりだと思い込んでいた面々は言葉を失う。

そうして時間が経ち100回を区切りに小休止に入るビスケットオリバ。未だにギャラリーは晴れることはなかった。
「次はスクワットでもやるか」
その一言で周りが色めき立つ。周りの期待を受けスクワットを始めようとしたその瞬間、彼の携帯電話の呼び出し音が鳴り響いた。
「悪いな街雄サン。仕事が入っちまった。」
そう言いシャワー室に向かうビスケットオリバを見送りながら街雄は思う。今日の驚きを、感動を忘れることは無いだろうと。

こうして謎の怪力無双ビスケット・オリバはシルバーマンジムで伝説となるのであった。

尚、トレーニング風景を撮影していたジム会員によって流失した映像が主にネットで拡散され、大きな話題になったとか。
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