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借金大王
第二章
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「若し断ったらな」
「他の奴のところに行くんだな」
「大石か川端か亀谷か」
「他にも何人もいるよな」
「持つべきものは友達だよな」
「お前は悪友中の悪友だよ」
 面と向かって言ってやったまたしても。
「最低最悪のな」
「言ってくれるな」
「それで反省してるか?」
「してるぜ」
 やはりへらへらして言ってくれた。
「これでもな」
「ほお、そうか」
「ああ、お前もわかるだろ」
「何年の付き合いだ」
 正直俺自身わからなくなっている、中学の時から一緒だ。高校でも大学でも一緒だった見事な腐れ縁だ。
「もうな」
「そうだよな、俺のことわかってるよな」
「お前が反省なんかするか」 
 確信して言ってやった。
「何があってもな」
「これでも反省してるぜ」
「嘘吐け、それで金借りたらか」
「飲みに行くな」
「ったく、金はねえよ」
 俺は怒った顔で言ってやった。
「今日は」
「給料日前か」
「そうなんだよ、これが」
 だから金はない、本当のことだ。
「だからな」
「金は貸せないか」
「けれど酒はあるからな」
 このことはと言ってやった。
「酒は何でもいいよな」
「ああ、飲めたらな」
 こういう奴だ、女にも節操がなくてこの前よりによってヤクザ屋さんの奥さんと不倫してしかも妊娠させたとか言っていた、よく殺されなかったものだ。何でもそのヤクザ屋さんが覚醒剤で捕まって奥さんが離婚して話が消えたらしい。運のいい奴だ。
「何でもいいさ」
「ジンでいいよな」
 たまたまあった強い酒だ。
「つまみはピーナッツでいいな」
「何でもいいさ」
 ついでに言うと食いものにも節操がない。
「食えたらな」
「飲んだら帰れよ」
「お前も飲むよな」
「ああ、俺は梅酒だ」
「ジン奢ってくれるのかよ」
「たまたまあったんだよ、けれどな」
 そのジンについてだ、俺は答えた。
「俺強い酒は苦手だろ」
「そういえばそうか」
「だから妹がプレゼントしてくれてもな」
「飲めないんだな」
「ジュースと割って飲もうと思ってたけれどな」
 俺としてはだ。
「どうもこれだっていうジュースがなくてな」
「ジンなんてロックでいいだろ」
「俺は無理なんだよ」
「そうなんだな、じゃあご馳走になるな」
「ああ、仕方のない奴だな」
 何だかんだで家に入れてやった、そうして夕食の後でこれから風呂に入る時にこいつが来たので追い返してから入るつもりだったが。
 こいつの相手をしてから入ることにした、それで二人で俺と妹が住んでいるアパートの部屋の中で飲みはじめた。
 そうしつつだ、俺は説教をしてやった。
「お前な、本当にな」
「いい加減過ぎるか」
「一体何人から金借りてるんだよ」
「二十人位か?」
「その二十人か
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