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架空戦記〜東洋海戦争1941〜
第二十話「海戦前」

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1941・9/12・10:00
「報告します。夜間奇襲の被害は重巡2、軽巡1、駆逐3が沈没若しくは撃沈。戦艦1、重巡1、軽巡3、駆逐1が大破です。これらの艦は下がらせるとの事」

「そうか、ご苦労。持ち場に戻ってくれ」

夜間奇襲から六時間近くが経過した。夜間奇襲の被害は想像以上に大きくタツミは報告に頭を抱えていた。被害総数は戦艦1、重巡3、軽巡4、駆逐4でありかなりの艦が戦闘不能若しくは撃沈されたことになる。そしてこれは大破や撃沈の総数であり中破や小破した艦は含まれていない。これらも含まれれば無事な艦の方が少なくなるだろう。実際、タツミの乗艦するワイアルアも中破相当のダメージを受けている。前方の主砲は破壊され右舷船尾には軽く穴が開いた。今は応急修理が行われたが完全に治っている訳ではなかった。特に手法を失ったのは痛く今後ワイアルアの攻撃力は低下するだろう。

本来であればここは直ぐに撤退し艦を修復するべきであった。しかし、今ここで艦隊が引けばやって来るのは揚陸艦を引き連れた敵の大艦隊。その先にあるのはイハワ王国の滅亡及び占領だろう。

「(引けば滅亡、進めば全滅…。どうやらこの国の滅亡も本当に近いな。頼みの綱はアビン合衆国と葦原中国だが…)」

タツミは自国の想像以上に厳しい現実に頭を悩ませるのであった。





〜神星ルドワ帝国side〜
「皇女殿下、戻ってきたパイロットの情報が整いましたので報告します」

「いいでしょう。敵に与えた被害は?」

「確認できるだけで大型艦2隻、小型艦5、6隻ほどです。その後沈んだ艦もあるようで最大で大型艦3、4隻、小型艦8隻ほどかと思われます」

同時刻、タツミが国の将来を思っている時連合艦隊では会議が行われていた。内容は夜間奇襲についてである。

「これで敵の戦力を大幅に削ったと判断できます。後はアビン合衆国と葦原皇国の動向ですが、アビン合衆国は接敵の前後に葦原皇国は同日中に来る可能性があります」

「こればかりはしょうがないでしょう。接敵前にイハワ王国の戦力を削れたのです。今はこれで良しとしましょう」

部下の報告にミリアはそう言った。功を急ぎ過ぎて足元を救われてはどうしようもない。ミリアは今回の戦果に満足する事にした。

「幸い敵の新たな増援は確認できていません。つまり今向かってきている艦隊を潰せば後はイハワ王国まで直ぐです。各員手を抜かず最大限の警戒をして怠けないように」

「「「「「はっ!」」」」」

ミリアの言葉に部下たちは威勢よく答えるのであった。

神星ルドワ帝国とイハワ王国の艦隊の接敵は近い。

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