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八条学園騒動記
第五百四十話 快適な旅その十一

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「そこはな」
「何があっても完成させる」
「それか完結させる」
「創作にはか」
「そうした覚悟が必要なんだ」
「完成、完結させてな」
 そこまでしてこそとだ、博士は二匹に話した。
「作品は命を持つのじゃ」
「それよく言われるよな」
「そうだね」 
 二匹もその話を聞いて述べた。
「俗にだけれど」
「そうした風にな」
「そして博士もなんだ」
「そう考えていてだな」
「兵器もじゃ」
 博士がいつも造っているそれはというのだ。
「同じということじゃ」
「それでこのメカラドンもか」
 ライゾウは博士に話した。
「ちゃんとか」
「そうじゃ、完成させてじゃ」
「動かしてるんだな」
「そうしておるのじゃ」
 まさにというのだ。
「わしにしてもな」
「成程な」
「まあ中にはな」
 博士はさらに話した。
「そうしたことにお構いなしのな」
「科学者がいてだね」
「小説家も漫画家も画家もな」
「いるんだ」
「大菩薩峠の作者は違ったが」
 中里介山、彼はというのだ。
「創作意欲が失われた」
「それはどうしようもないね」
 タロも話を聞いて思った。
「それだと」
「うむ、しかし中にはな」
「未完のまま放置してもだね」
「平気な者もおる、わしとは違う」
 そこはというのだ。
「やはりわしはな」
「創作をするのならだね」
「完成させる」
「それが絶対だね」
「そうなのじゃ」
「そしてそれも博士の美学だね」
「そうじゃ、わしの美学じゃ」
 まさにそれだとだ、博士はタロに答えた。そうして銀河の大海を窓から見つつそのうえで話すのだった。
「それじゃ」
「だから絶対にだね」
「わしはわしの美学には従う」
「だからこそ」
「そこは絶対でじゃ」
 それでというのだ。
「完成させるのじゃ」
「美学に従って」
「そうしておるのじゃ」
「博士の考えがわかったよ」
 ここまで話してだ、そうしてだった。
 博士は次第に銀河の大海の方に関心を向けタロもライゾウもそちらに関心を向けた、彼等の旅はその中で少しずつ終わりに向かっていた。


快適な旅   完


                2019・9・16




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